山猿塾だより 丹波山猿塾だよりバックナンバー

ここは、丹波市島で山猿塾を主宰する青木慧さんからの便りのコーナーです。


目 次
◆山猿塾だより◆71=春休み企画81 FAGRI掲載日 96/02/23 ◆山猿塾だより◆72=春の企画日程調整 FAGRI掲載日 96/02/26 ◆山猿塾だより◆73=春の企画向け工事 FAGRI掲載日 96/02/29 ◆山猿塾だより◆74=夏キャンプ山猿塾 FAGRI掲載日 96/03/06 ◆山猿塾だより◆75=多彩な参加者 FAGRI掲載日 96/03/10 ◆山猿塾だより◆76=春のキャンプ第二弾 FAGRI掲載日 96/05/04 ◆山猿塾だより◆77 キャンプ御苦労さん FAGRI掲載日 96/05/08 ◆山猿塾だより◆78=拡大解釈と視野拡大 FAGRI掲載日 96/05/12 ◆山猿塾だより◆79=ひまわり小屋常駐者 FAGRI掲載日 96/05/19 ◆山猿塾だより◆80          FAGRI掲載日 96/06/03
Contents Copyright 1996 Satoshi Aoki

07222 ◆山猿塾だより◆71=春休み企画 FAGRI掲載日 96/02/23 Nackさん(#7218)  神戸の新居に引っ越されたのですね。おめでとう。ウイークエンド土方ですか。い い「運動」になりそうですね。からだを使うのが一番いいです。  私も生まれてこのかた、いまが心身ともに一番、好調です。体質改善に成功したよ うです。これについては、いずれまとめて書き込みたいと思っています。瓦は130 0枚、約4トンを屋根まで手揚げしますが、降っては消える雪のおかげで、このとこ ろ細かい手作業が多く、少々、ストレスがたまり気味です。  Nackさんには春休み企画にぜひ参加してほしいのですが、新居の仕上げのうえ に転勤なんてことになったら、ちょうどぶつかってしまいますね。 サナギマンさん(#7219)  4月6〜7日でも、お子さんたちの入学式とかにひっかからないのでしょうか。な らば、FAGRI以外の方で土日が勤務の方もいますので、幅をもたせて4〜7日の 期間にしてはどうでしょうか。私としてはできるだけ遅い時期に計画してもらった方 が助かります。受け入れ準備がそれだけはかどります。  受け入れ準備には、本宅の1室を造って私たちが引っ越すだけではなく、中段(F 2)の巨大なブルーシートの荷物を一時的にでも移動する必要があると思っています。 お泊まりさんは、クルマごと橋を渡ってあのあたりにテントをはってもらわないと、 動きがとれなくなるでしょう。  また、団欒、食事などのスペースとしてひまわり小屋、作業小屋だけでなく、建築 中の本宅の土間も空けておく必要がありそうです。  開墾ですか? これはいい「運動」になります。「たぬきの餌場」の堆肥はまだ発 酵していませんが、純正の木の灰はたまっています。  上の畑(F3)に水を引くのは地形的にむずかしいところです。沢よりかなり高く、 またその上は他人の杉山になっているからです。が、杉山から水を取れるようにする のが最善です。持ち主の許可がいりますが、これがもしできれば持ち主も喜びます。  それというのも、杉山はもともとが水田であり、水が引かないので杉が根腐れして つぎつぎと倒れはじめているからです。これは山猿塾とその参加者にとってもたいへ ん危険なことです。私も杉山の持ち主といずれ相談しなければと思っていました。  しかし、杉山に排水路をつけるのは、土方のできる元気者が何人か必要です。杉の 根を切って下の岩盤を掘らなければならないからです。もともとここは山田(棚田) ですので、水は上の田から下の田へ流れる構造になっていますので、これができたら しめたものです。  これはちょっとした工事になりますので、応急的にはひまわり小屋でためている山 水を、ドラム缶から簡易ポンプで吸い上げる方法があります。ドリルで回す簡易ポン プならわが家にあります。都会の水道くらいの水量は吸い出せます。  細かいことはもし3月にこられれば相談しましょう。サナギマンさん一家のみなさ んには、ぜひTVの取材を受けてほしいと思っています。記者は「積極的に参加して いる人にスポットを当てたい」という意味のことをいっていました。  だから、山猿塾のキーマンの何人かにTVにも登場してほしいなあ、と期待してい ます。マスコミに振り回されないよう警戒は必要ですが、記者は良心的な人物のはず です。私もそういうジャーナリスト、報道関係者の集いの場で彼らに話しましたので、 まちがいないと思います。 〈訂正〉前回の「たより」(#7215)のなかで、以下の部分が乱れていましたので下記の とおり訂正します。 「絶えつつある淡水藻を再生するKOHさんの試みも、成功していました。山水の溝 にはその藻が一面に増えています」 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
07252 ◆山猿塾だより◆72=春の企画日程調整 FAGRI掲載日 96/02/26 芝田まことさん(#7225)  しばらくぶりにお会いできそうですね。〈家の天候〉ですか? ふむふむ、わかる ような気がします。天候不順の原因は私にありそうですが? この年になっても真意 を伝えられない未熟者ですが、思ったことは相手の許容力、吸収力を信じていうよう にしていますので、あしからず。  汽車でこられるのも悪くないと思います。天候不順のさいは荷物などを宅急便で送 られてはどうでしょうか。時間がわかっていれば、駅までだれか迎えに行ってくれる のではないでしょうか。いなければ私が行きます。 サナギマンさん(#7232)  サナギマンさん一家には勢揃いしてもらわないと絵になりにくいですねえ。せっか くの機会だから、TVの絵になるように協力していきたいと考えています。担当記者 も、子ども連れの家族が何組かきてくれることを当てにしています。3姉妹が生き生 きと遊んでいる映像がどうしてもほしいなあ。  というわけで、折衷案を再提案します。わが家のいまの状況からいって、イベント 的催しをあいついで1弾、2弾と打ち上げるのはちょいときついです。やはりそれな りの準備や跡片づけなどもありますので。  そこでGWの前半、4月26〜30日を期間としてはどうでしょうか。「春休み キャンプ山猿塾」ではなく「春のキャンプ山猿塾」ということになりますね。そうす ればNackさんも新居の工事も終わりそうですし、気候もよくなるでしょう。  4月26日は金曜日ですが、実はわが家が当地に引っ越してきて1周年になります。 縁をかつぐわけではありませんが、前回だかに記したように、平日でないと勤めを休 めない人もいますので、少人数でもそういう日もほしいと思います。  もちろんこの期間以外にふらりときていただいても歓迎します。そういえば今日2 6日、サナギマンさん宅に近い堺市のソフトハウスの経営者が、4回目にふらりとや ってきました。神戸大学の女子学生も一緒でした。3月からはじっくりとくるそうで す。小屋を建てるつもりで、いま木の勉強をしているとか。帰りには、いつか訪ねて くれたIターン組の市島町内の木工の工房を訪ねたようです。  今回の「春のキャンプ山猿塾」は、パソコン通信関係以外の希望者にも案内のハガ キくらいは送りたいと思っていますので、一定の時間的余裕も必要ですし、この時期 の方がいいかもしれません。敷地内の引っ越し荷物のブルーシートも少しは減らせる でしょう。  ただ難点は、この時期は早場米の田植えの最中で、地元の農家の農繁期であるとい うことです。きにくいだけではなく、クルマがあふれた場合などに、農道に駐車しに くくなります。この場合は現地事務局さんに相談してみます。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
07272 ◆山猿塾だより◆73=春の企画向け工事 FAGRI掲載日 96/02/29 サナギマンさん(#7255) Nackさん(#7268)  それでは春のキャンプ山猿塾の開催期間は4月26〜30日という線で準備をはじ めましょうか。ほかの人の都合も考慮して最終決定には余裕を持ちたいのですが、F AGRI関係者以外との関係でいろいろ都合があって、期間だけは早めに決めておき たいのです。 ◇あいかわらずの突発訪問つづき◇  拙著『自然に学ぶ丹波山猿塾』と朝日新聞の記事への反応が、まだまだ尾を引いて います。一昨日は京都府舞鶴市内の専業農家の突発訪問がありました。両親が老齢化 して農業ができなくなり、大阪の会社をやめてUターンし7年になるそうです。奥さ んは札幌出身ですからIターンです。  「悩める農家」という感じで、いろいろ悩みを聞きましたが、私にいわせると贅沢 な悩みも少なくありませんでした。UターンやIターンのせいだけではなく、結局、 周りの農家はほとんどが兼業農家で、孤立した人間関係と農作業で、元気を失ってい るようでした。  さっそく春のキャンプ山猿塾の計画を話し、ぜひ参加していろんな人と交流するよ うすすめました。喜んでいました。元気がでるようにと、山猿塾の拙著とともに「い つまでも食えると思うな」も贈呈しましたら、さっそく昨日、また現れ、米や野菜な どをたくさん届けてくれました。その米をさっそくいただきましたが、実にうまい米 でした。  と思いきや、昨日午後、京都府綾部市内の山間部で民宿をしているIターンの主人 が現れました。いろいろ自然を活用して養魚や炭焼き、山菜料理などもやっているよ うです。一度、訪ねてみたいと思っています。そして、今日は突然の工事関係者たち の訪問でした。 ◇突発訪問ならぬ突発工事◇  昨夜、現地事務局さんから話があって、今朝から突発的に工事がはじまりました。 地元の集落の14戸が急遽、合併浄化槽の工事をはじめることになり、その残土を引 き受けることになったからです。(年度末のかけこみ工事くさい)  急なことでサナギマンさんにはなんの相談もしないで恐縮ですが、サナギマン果樹 園のブドウを引っ越させてもらいました。小屋の前に積んでいたたきつけ用の樹皮も、 F3のなかほどに山積みしました。  残土でひまわり小屋の前まで埋め立て、山猿塾の上り坂からひまわり小屋まで真直 ぐに道を付け、駐車スペースを増やすことにしました。春のキャンプのさいに駐車場 をどうしようかとちょうど考えていたときだったので、残土を引き受けることにしま した。当方の工事はすべて無料です。4月上旬までに完成のはずです。  サナギマン果樹園へ降りる梯子は、丸太橋を渡った位置に移動しました。これを補 強し、間伐檜を使って上の畑(F3)に通じる梯子も造り、ひまわり小屋を中心に行 動できるようにしてはどうかと思っています。新しくできる土手(法面)はKOHク ワガタの森を延長するか、イチゴを放任栽培し「野生化」させたらどうでしょうか。  かつてわが家では、日当たりのよい斜面に苗を植え替えないままイチゴを栽培して いましたが、野生化に近い状態になり、雑草や病虫害にも強く、自家用として毎年、 収穫していました。いまの過保護のイチゴより味も濃かったし、うまいものでした。 もちろん売り物になるみばえではありませんでした。  私たちが定住してから1年の春のキャンプまでには、山猿塾はあっと驚く変身を遂 げそうです。自己満足かな?? 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
07299 ◆山猿塾だより◆74 FAGRI掲載日 96/03/06 サナギマンさん(#7272)  フルマラソン完走、やりましたね。  娘さんたちはすっかり山猿塾に場慣れして、より活発になったようです。  18日にはいろいろ相談したいことがたくさんあります。やはりサナギマン事務局 長の奮起がないと、「春のキャンプ山猿塾」は成立しません。楽しい企画の具体化の ほかにいろいろ課題が増えました。  わが家は緊縮予算なので、実費をどう負担してもらうか。また、収容能力に限界が あるので、あまり過密にならないように、どのあたりまで参加を呼びかけるかなどで す。とくにFAGRIの関係者は早めに参加予定を知らせていただき、その余力の範 囲でほかの人たちに参加を呼びかけたいと思っています。 ◇悩める現代人の人生相談◇  サナギマンさんの奥さんと娘さんが帰られたら、ちょうど入れ代わりのように尼崎 の人が突発で訪ねてきました。朝日新聞の山猿塾の記事を読んで、訪ねる決心をした そうです。40歳の再独身者でした。  5年前に自営の商売に失敗し、家庭も崩壊して離婚。以来、すっかり精神神経的に 疲れ、まいっているようでした。訪ねてくれた目的がなかなか飲み込めませんでした が、まるで人生相談所にきたようでした。そういえば先日のIターン専業農家も人生 相談風でした。  やはり現代人はいまの管理社会、市場原理本位の競争社会で、疲れきっているとい うのが実感です。神経を癒すような、裸で付き合える本来の人間関係を求めているよ うです。山猿塾の「他人の親戚」付き合いが、悩める現代人たちの本来の人間関係を 回復するチャンスになればと思いました。  尼崎の人はそのうちにまた訪ねてくるでしょう。いまは失業中で、当地で新規一転 の再就職や新生活を求めているようです。できるかぎり協力したいと考えています。 ◇仕事場の小屋建設◇  1昨4日には、また堺市のソフトハウスの経営者が訪ねてきて、一泊して昨5日夕 刻までいました。彼は小屋を建てる計画ですが、仕事場として活用したいそうです。 出入りの激しい山猿塾の敷地内では、静かに仕事ができるかどうか。経済的にも割に 余裕がありそうですから、近場に適当な土地を探すため協力するつもりです。  自分で小屋を建てるのに備え、私の仕事を手伝いつつ電動工具一式の使い方などを 飲み込みたいようです。2日目は、手始めに電動カンナで荒野地板をけずってもらい ました。自分がけずった化粧野地の肌をなでなから「きれいなもんですね」と、御満 悦のようでした。来週もまたくるそうです。 ◇山猿塾に井戸ができるかも?◇  先日訪ねてきたジャーナリスト志望の22歳の青年が、ソフトハウス経営者と夕食 中にやってきました。元気で行動的な青年です。偶然ですが、彼は奈良にいる拙著の 熱心な読者のお孫さんでした。お祖父さんは立派な社会運動の大幹部です。  実は青年が最初に山猿塾にやってきたときうれしくなって、お母さんに電話で山猿 塾訪問の喜びを話したそうです。お母さんはお祖父さんの娘さんであり、娘さんから お祖父さんの耳にそのことが伝わったということです。  私はお祖父さんから手紙をいただきそのことを知りました。また青年は自分にきた お祖父さんの手紙を持参してきました。その手紙には私の著書を6冊持っているなど と記されていました。  酒盛りをしながら、青年は山猿塾に井戸を掘りませんかといいだしました。彼はい ま水道屋で働いており、彼が井戸を掘ってくれるそうです。彼の親友は某国立大の大 学院で水の研究をしており、週末には一緒に訪ねてくれるそうです。  青年は井戸だけではなく、池も造りたいといいます。魚を飼いたいそうです。芝田 まことさんの長男のドジョウ池は干からびたまま頓挫していますが、ひょっとしたら 本格的な池ができるかもしれません。青年の力と彼の親友の知恵も借り、当地の水系 をよく調べ、それに適応した水の効率的な活用を見付けだしていきたいと思います。  多面的で奥の深い自然の実態をよく知り、つまり自然に学んで、多様な自然に適応 した山猿塾をめざしていくつもりです。「自然に学ぶ山猿塾」で、多様な人びとの知 恵と力を結集して、自然の理にかなった暮らしのモデルが築けたらと願っています。 私の自宅の自力建設もその一環です。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
07312 ◆山猿塾だより◆75=多彩な参加者 FAGRI掲載日 96/03/10 ◇本格的な池ができてしまった◇ 芝田まことさん(#7301)  ほんと、山猿塾には多彩な人びとが集まりはじめました。昨9日にはシャーナリス ト志望の青年と「水と生態系」を研究中の親友が2人でやってきて、幅約3m、長さ 約10mの池を掘ってしまいました。それも大雪で壊れたテントやビニールシートの 下の本棚を片付けてくれたあとに、掘り上げたものです。  ともに22歳の独身ですが、いやあ若いということはいいことですねえ。元気はつ らつでまだエネルギーがあまっているという感じでした。いまちょうど作業小屋の前 に駐車場兼広場を埋め立て中ですが、そこで使っているユンボを借用し、あっという まに掘ってしまいました。  今日10日には深さ数十cmの池に半分近くの水がたまっていました。が、いまは 雪解け水が多い時期でこれだけの水がたまったのであり、渇水期になるとどうなるか わかりません。それで彼らにも他人が所有している裏山も見てもらい、そこから水を 引く構想を話しました。彼らはやる気です。  彼らは2人とも、春のキャンプ山猿塾にも参加して、子どもたちの餓鬼大将役をつ とめたいともいっていました。サナギマン事務局長に会いたいといっていましたので、 サナギマンさんがくる18日には、ジャーナリスト志望の青年もやってくるかと思い ます。知性も豊かな青年たちであり、なにより実行力があります。彼らの志望の道が かなえられるよう、私も協力をおしまないつもりでいます。 ◇産経新聞記者が取材にきました◇  今日10日は晴れという予報だったので、なんとか今日、明日には屋根ふきを終了 しようと懸命に屋根の上を走り回っていました。だが、あいつぐ来訪者で計画どおり に終了するのは無理となりました。  産経新聞の地元の支局から記者が突然、取材にやってきました。またゆっくりきま すからといって、2時間ほどの取材で帰りましたが、取材には協力しました。記事が 掲載されるのは但馬・丹波版だと思います。  記者がいるあいだにミゾレが降り出し屋根はぬれてしまいましたが、仕上げの作業 を再開しました。が、今度は近くの農家の現地事務局さんと猟友会長さんがそろって 現れました。堺市のソフトハウス経営者が小屋を建てるための敷地の候補地を探して くれたのです。  これに先立ち、現地事務局さんと猟友会長さんは、朝のうちに山猿塾の上り口にす でに現地事務局さんが立てていてくれた案内看板を、もっと目立つようにクイを打ち 直して立て替えてくれました。  その敷地は猟友会長さんの田んぼの土手です。山猿塾をはじめて訪ねてくれた人が よく迷い込む位置にも猟友会長さんの田んぼがあり、そこにもどうぞ山猿塾の案内看 板を立ててくれといってくれています。  地元の人たちは、春のキャンプのさいの駐車スペースの心配もしてくれています。 ちょうど田植えの時期と重なって、道路駐車はトラクターなどの邪魔になりますので、 どの道を駐車に使えばよいか検討してくれました。  山猿塾は、ほんとに、多彩な人びとと地元の農家のみなさんに支えられいます。感 謝感激です。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
07651 ◆山猿塾だより◆76=春のキャンプ第二弾 FAGRI掲載日 96/05/04 ◇復帰の御挨拶◇  ながらく御無沙汰しました。実はパソコンが故障し、新居の一室に引っ越すまでは バソコンの使用を自粛していました。なにせ山小屋のロフトで燻製状態にあり、使用 すると寿命がきてしまいそうな予感がしたからです。  新居の私の仕事部屋だけがどうにか使える状態になり、春のキャンプ山猿塾前に引 っ越しました。まもなく入り込んだススを吹き飛ばそうとシステムのカバーをあけて コンプレッサーでエアを吹きつけたところ、カメムシの死骸が飛び出しました。  文明の利器もたあいのないものですね。カメムシを吹き飛ばして以来、パソコンの 機能は回復、復帰することができました。また「山猿塾だより」を復活させていただ きます。 ◇96春のキャンプ山猿塾無事終了◇  参加のみなさん御苦労さんでした。最高の4月27日は32人になり、落ち着いた 話はできませんでしたが、いろいろあっていいでしょう。とりあえず、4月30日を もって無事、終了しました。 と、思いきや、お休みは5月1日だけで、2日には大阪のボーイスカート役員がチェ ンソーと草刈り機持参で現れ、山猿塾入り口の法面の笹や雑草を刈ってくれました。 明けて3日にはジャーナリスト志望青年がトラックにユンボを積んで現れ、丸太橋を かけかえ、一直線で車も渡れるようにしてくれました。  これには前記のボーイスカート役員も加わりました。彼は某ゼネンコに勤めており、 橋のかけかえ作業は青年とのペアできわめて順調にすすみました。これでまた山猿塾 の様相はかなりかわりました。  つづいて今日4日には青年の友人が広島、東京から現れ、彼らの小屋の建設がはじ まりました。大阪から私の同級生も訪ねてきました。そこへ下の集落にIターンして きた夫婦とその一族10人があらわれました。まるで春のキャンプ山猿塾第二弾がつ づいているようなものです。  山猿塾の様子は読売テレビが7日のニュースのなかで放映の予定ですが、その影響 で第三弾がはじまってしまうのではないかと身構えています。いろいろあって山猿塾 もなるようになっていくでしょう。本宅の建設は事実上しばらくお休みになっていま したが、エンジンをかけ直そうと思っています。まずは復帰の御挨拶でした。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
07679 ◆山猿塾だより◆77 キャンプ御苦労さん FAGRI掲載日 96/05/08 ◇さっそくテレビ放映の反響◇  読売テレビの山猿塾の放映は見ていただけたでしょうか。山猿塾ではテレビの電波 も届かないことを理由に、私は見ないつもりでした。が、テレビを見てくる新たな訪 問者とも話が通じなくなりますので、地元の集落の同級生の家で見せてもらいました。  目当ての番組だけ見てすぐ帰宅しましたが、部屋へ入ったとたん、中学1年生と小 学2年生の息子さんを連れた、地元の兵庫県市島町のサラリーマンがクルマで登って きました。「いまテレビで見ました」と第一声。  案内しますと、「おもしろいですね、会費はいるんですか」などと聞いて、「また こさせてください」といって帰りました。顔も知らない隣の谷の集落の人でしたが、 あまりにも早い反応に、別の用件かと思ったほどでした。  放映翌日の今日8日には、早朝に地元のライオンズクラブから山猿塾について講演 してほしいとの依頼電話がありました。肝心の自宅建設作業がすすまないので、一旦 はお断わりしました。 ◇キャンプ参加のみなさん、御苦労さんでした◇ Nackさん(#7613)  毎度のことながら、準備段階からの参加、御苦労さんでした。その後の恵みの雨で、 苦心の作の青竹製滝から水が落ちるようになり、池の水もまんたんになって澄んでき ました。次回は自宅のぬれ縁を完成させてください。  確かにFAGRI以外の人たちの参加で、「他人の親戚」の輪がぐっと広くなりま したね。舞鶴のUターン農家の主人は田植えの農繁期にもかかわらず、期間中に3度 もきててくれました。  テレビでのNackさんのすっとぼけた「迷答」はなかなかのものでしたよ。 らいむさん(#7614)  初参加なのに、間伐材の皮むきなどではりきりすぎて疲れたのではないですか?  その後、あの間伐材を活用して青年たちが小屋の建設作業をはじめました。みんなに 助けられた感謝の気持ちからか、彼ら青年グループ3人がわが家の間伐材の皮むきも やりはじめましたが、「短い休みだから、自分たちの小屋の作業をしてくれ」と断わ りました。  ぜひまた気楽に山猿塾へきてください。もし「ひまわり小屋」が満員でも、青年た ちの小屋ができれば、喜んで泊めてくれることでしょう。 サナギマンさん(#7628)  野菜苗の植え付けなど御苦労さんでした。テレビを見せてくれた同級生の奥さんは 野菜作りと野菜料理の名人で、テレビを見ながら「カボチャにはおおいをかけんとあ きまへんで」と教えてくれました。  丸太橋の下の実験的に植え付けた里芋は、橋のかけかえで多少、犠牲になってしま いましたが、橋のかけかえで、また山猿塾の風景も変わりました。御勘弁を。  テレビではサナギマンさんのインタビューが抜けていましたが、来る12日の市島 町のマラソンでは、山猿塾のゼッケンをつけて走ってみませんか? COREさん(#7630)  帰省・田植えで疲れていたでしょうに、よくきてくれました。私は「花よりダン ゴ」ならぬ「月より酒と食い気」でした。大宴会の翌28日には、青年グループ3人 がスパゲッティを作りましたが、これもなかなかのできでした。  しかし、綾部市の山中で山菜料理が得意の民宿の主人も参加してくれていましたが、 「待たせるのも料理のうち」といっていました。それでも青年グループの料理をみか ねたのが、ついにプロの登場となりました。(KOHさん、いつかおたずねだった綾 部の民宿の主人とも「他人の親戚」関係になりましたよ)  COREさんの「長男坊主のUターン劇」の結末が少し延期になったようですが、期待 して待っています。 芝田まことさん(#7656)  久しぶりでしたね。おかげさまでパソコンはどうにか動いています。その後、堺の ソフトハウスの経営者が弟さん夫婦とその子どもとともに現れ、あの燻製状態のパソ コンを見て、同じキーボードが1つ余っているので、今度くるとき持ってきますとい ってくれました。  カメムシ君も、その後の暖かくなった日に、空高く舞い上がり、裏山へ向かいまし た。それでも、まだ残留部隊が山猿塾を舞台に活躍しています。 ◇パソコン通信とまた別の交流手段◇ BUNTENさん(#7659)  いっしょくたでごめんなさい。  なるほどなるほど、そういわれればススは大敵ですねえ。わが家が仮住まいしてい た「ひまわり小屋」は、イロリとストーブによる木製の純正ススでしたのでなおさら です。もう1度、念入りにススを吹き飛ばします。 甲山さん(#7329,7662)  かつてパソコン通信が不能なあいだに、御心配していただいていた駐車場の拡張工 事は、一応、終了しました。石工はいませんので、ユンボで法面を押さえ、上土に砂 利をまいてローラーをかけただけです。法面はまた別の作物や樹木でおおうことにな るでしょう。  HPの開設は一度、話題になったこともありますが、私のいまの状況では時間と手 間がとれず不可能です。私が〈主催〉するのではなく、どなたかが運営していただけ るなら話は別です。  春のキャンブ後、山猿塾で1つのテーマとして浮上してきたのは、パソコンとは別 のコミュニケーションの手段です。実はFAGRI、パソコン通信関係以外の参加者 から、「パソコン通信ができないと、取り残されていきそう」という不安の声が伝わ ってきました。  そこで、例えば「山猿ニューズ」のようなものを発行して郵送するようにしてはど うかという意見も出ています。これも私が〈主催〉するというのは不可能に近い状況 なので、発行人、編集者とも有志のどなたかに引き受けてもらえないかなあと、考え 中です。これも費用がかかりますので、簡単には発行できません。  山猿塾には、ぜひまたふらりときてください。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
07714 ◆山猿塾だより◆78=拡大解釈と視野拡大 FAGRI掲載日 96/05/12 Nackさん(#7688) 〈自分の映像なんて見たくないんでパスしました〉などと〈意味不明〉な本音をいっ ているうちに、勝手な拡大解釈が走りまわっていますよ。  あるお母さんから「不登校」の子どもをあずかってもらえますか」という相談電話 がかかってきました。いつもどおり「いつでも、どなたでも、どうぞ」と答えていま したが、聞けば「不登校」は高校3年生の息子さんだそうです。  山猿塾はその種の「施設」ではありませんので、そのことを口にすると、思いがけ ない言葉が返ってきました。「山猿塾のテレビを見ていたら、『出社拒否』の人もき ておられたようなので」というのです。これ、どうやらNackさんのことのようで す。  女房とともに「一番、出社拒否になりそうもないNackさんが、なんでそのよう に見えたのか」と、首をかしげてしまいました。このお母さんは「不登校」の息子の 目でしかテレビでの山猿塾が見えず、Nackさんの言動まで「出社拒否」症のよう に拡大解釈、意訳されてしまったようです。  そして、今日はまた別のお母さんから、電話で「うちの子どもをあずかってほし い」といった意味の相談が入りました。「子どもさんはいくつですか」と聞くと、な んと「23歳です」といいます。「じゃあ、子どもさんというより息子さんじゃない ですか」といってしまいました。  いやあ、高校3年生や23歳になっても、こんな相談まで「親がかり」なんですね え。23歳になっても父親が休みのときに親に連れてきてもらうようです。「きたけ れば自分でこい」といってやりたいところですが、こういうところに現代の社会と人 間のサマが表されているようです。 甲山さん(#7702)  ミニコミ紙『山猿通信』?の試算、どうも、ありがとう。試算によると可能な範囲 ですね。やればやれますねえ。  しかし、その可能性をだれが切り開くかですね。山猿塾はすべて私、青木慧のシナ リオで動くのではなく、やりたい人がやりたいようにやるというのが理想です。私の 個性は強すぎますし、別の独立した人格が独立した意志で実行してくれれば、互いの 個性が花開きます。HPの提案も同様です。 COREさん(#7705)  いわば「寄せ書き紙」ですね。おもしろそう。だけど、パソコン通信をやっていな い参加者は、ここでのこういうやり取りも知りたいようです。また「ひまわり小屋」 など山猿塾にきていないときでも、お互いのコミュニケーションを求めているようで す。もう少し時間をかけて考え、意見を交換していきましょう。 ◇求められている広い視野◇  山猿塾がFAGRI以外の人たちを迎えるようになって、ミニコミ紙や寄せ書き紙 にとどまらず、視野をひろげていく必要を痛感しています。  自然の原理に従うほかない農林業も、市場原理、競争原理に振り回されてきました が、同様に、人間自体が市場原理の管理社会、過剰競争に連動する過剰教育、過干渉 などによって、自然な自分を見失っているのではないでしょうか。  人間が管理社会、管理家庭に閉じ込められ、会社の目や自分の子どもの目でしかも のが見えなくされています。生きた生物としてもっと自然にものを見なければ、人間 は窒息します。  農林業の復権、復興と人間復興はつながっているように思えます。自然に学ぶ山猿 塾は、人間性の回復、復興という広いテーマにかかわっていくべきではないかと思っ ています。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
07760 ◆山猿塾だより◆79=ひまわり小屋常駐者 FAGRI掲載日 96/05/19 ◇ジャーナリスト志望青年の小屋造り◇  96春のキャンプ山猿塾の参加者はすでに御存じの、ジャーナリスト志望の22歳 の青年、三成拓也さんは、山猿塾敷地内に自力で小屋を建てはじめました。日曜日の 今日19日も、昨夜からひまわり小屋に泊まり込みでやってきて、石の基礎と土台造 りに懸命でした。  小屋ができればそこに定住する考えですが、小屋を建てるにもできればひまわり小 屋に移住して小屋を建てるのに専念したいそうです。といっても会社勤めがあり、専 念できる時間には限りがあります。  それだけに、ひまわり小屋に定住して効率的に作業ができるように、応援できたら と思います。だれかくれば明けるという条件でひまわり小屋に移住したらと、一旦は 提案しましたが、考えてみたら生活道具も必要ですし、自分だけの空間も不可欠です。  そこで関係のみなさんに相談ですが、期間を限定した四季おりおりのキャンプ中に は参加のみなさんのために空け、平常は2人くらいが同宿できる程度に余裕を残し、 彼に活用してもらってはどうかと思います。  これはベッドなどがある本来の小屋部分で、土間や吹き抜けの炊事場などは、参加 のみなさんとの共用です。わが家も本宅の炊事場ができるまでは、一緒に使わせても らいます。もちろん三成さんも小屋が住める状態になるまでのことです。  ということで、関係のみなさん、いかがでしょうか。わが家としては、利用者がな いひまわり小屋を管理するのは負担なだけではなく、どなたでも必要な人には最大限 に活用していただけたらと思っています。  三成さんも、自分の小屋が完成したらみなさんに開放したいと考えていますし、わ が家も地代などタダで、使わない木材などもできるかぎり提供し、応援したいと思っ ています。すでに御存じの方は承知していてくれると思いますが、気さくな青年です から、平素も気軽に同宿してもらえると思います。 ◇山猿塾に本物の山猿登場◇  三成さんも私も建設作業に夢中だった今日、日中に、女房が「猿よっ!」「猿よっ !」と叫びました。なにごとかと建築中の家から出てみますと、なんとサナギマン果 樹園に本物の山猿がいるではないですか。  女房の目には柴犬の番犬、権兵衛より大きく見えたようです。私にはそれほど大き くは見えませんでしたが、ボス猿の貫禄がありました。三成さんとともに3人が騒ぎ たてるのに堂々と振り返りながら、サナギマン果樹園を縦断して沢のある杉林のなか へ消えました。  森林の事情にくわしい同じ集落、市島町市ノ貝の森林組合の職員に聞きますと、 「そんなものがでてきましたか?」といいました。「離れボスやないですか」ともい いました。「離れボス」とは、サルの集団で新ボスが登場し、負けた旧ボスが集団を 離れたものです。  数年前には、ここ市ノ貝で女性や子どもが猿に追っかけられたこともあったようで す。また、森林組合が山林で枝打ちをしていると、猿が木を揺すって脅すこともあっ たとか。でも、近年は周辺には現れなくなっていたようです。  森林組合の職員は「お宅がそんな名[山猿塾]をつけなはったでくるようになった んじゃないですか」と冗談をいいました。私も「類は友を呼ぶといいますからねえ」 と答えました。  山猿塾に本物の山猿登場とは、できすぎの話のようです。が、鹿や猪に泣かされて きた山間の集落では、また新たな猿害に泣かされることになるかもしれません。サナ ギマン果樹園も心配です。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
07833 ◆山猿塾だより◆80 FAGRI掲載日 96/06/03 サナギマンさん(#7782)  三成青年のひまわり小屋定住に賛同してくれありがとう。彼はそれからまもなく引 っ越してきました。出勤前後にも時間があれば、自分の小屋づくりに打ち込んでいま す。彼の定住で若い人の出入りも増え、山猿塾はまた変わっていくでしょう。  山直イチゴなどは、前日にヒョウが降ってあわてて収穫したものです。ちょっと買 い物にでたすきに、大きいものは直径1cmもあるヒョウがところどころに積もって おり、トマトも葉をたたき落とされていましたので心配していました。  ヒョウにたたかれたイチゴはすぐいたみますのでどうかと思いましたが、私が試食 した範囲では意外にもだいじょうぶで身がしまっていましたので、あわてて収穫し送 らせてもらいました。今年はイチゴが豊作で、つぎの産直を期待していてください。 ◇芝田製手造りパソコンの愛称を募ります◇  私パソコン、IBM5551−V0Bは、丸7年間、酷使したうえに、ひまわり小 屋での1年間の仮住まいのあいだに、すっかり燻製状態になってトラブっていました。 もう寿命がきたかと案じていましたら、芝田まことさんから朗報が届きました。  私の自宅自力建設にふさわしく、手造り無印パソコンを組み立てましょうという申 し出でした。それがこのほど完成。30日には山猿塾へ持参して備え付けてくれる予 定です。山猿塾だよりを楽しく発信するためにも、この芝田製手造り無印パソコンに なにか愛称がほしいなあ、と思っています。  山猿塾にも本物の山猿が登場し、愛称に「Monkey」も悪くないなあと思いま す。が、山猿塾にしては新鋭高性能パソコンのようですので、「Monkey」では パソコンが泣きそう。なにかいい愛称はないでしょうか。 ◇1996年産ムカデ油の生産開始◇  数日前からムカデの動きが活発になってきました。昨年は約50匹生け捕りしてム カデ油を製造しましたが、残りも20匹前後の1.5リットル程度に減りました。今 年も待ってましたとばかりに、ムカデ油の生産を開始しました。  いまのところ作業中に姿を見せた相手だけで、毎日1〜3匹を生け捕りしています。 この分では96年産は100匹前後になりそうなペースです。  完成した私の仕事部屋の真南側のガラス戸には、毎晩1000匹単位の虫がむらが ります。まるで大型の標本箱を見ているようです。これは昆虫ではありませんが、そ ろそろマムシも姿を見せるでしょう。マムシの方は、昨年1匹生け捕りにしていまマ ムシ酒を醸成中ですが、今年はどうなることでしょうか。
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