山猿塾だより 丹波山猿塾だよりバックナンバー

ここは、丹波市島で山猿塾を主宰する青木慧さんからの便りのコーナーです。


目 次
◆山猿塾だより◆62 FAGRI掲載日 96/01/02
◆山猿塾だより◆63 FAGRI掲載日 96/01/04
◆山猿塾だより◆64 FAGRI掲載日 96/01/10
◆山猿塾だより◆65 FAGRI掲載日 96/01/13
◆山猿塾だより◆66 FAGRI掲載日 96/01/18
◆山猿塾だより◆67 FAGRI掲載日 96/02/02
◆山猿塾だより◆68 FAGRI掲載日 96/02/05
◆山猿塾だより◆69 FAGRI掲載日 96/02/10
◆山猿塾だより◆70 FAGRI掲載日 96/02/20

Contents Copyright 1996 Satoshi Aoki

06957
◆山猿塾だより◆62 FAGRI掲載日 96/01/02 FAGRIのみなさん  あけましておめでとうございます。今年も還暦の意地でたよりをかきつづけますが、 どうかよろしく。 源五郎さん(#6942)  25日からの大雪でそちらも大混乱ですか? 当地でも白菜などが店頭から消えま した。でも、向かいの農家がネギ、大根などとともに譲ってくれましたので助かりま した。  山猿塾では最高時、最も積もりやすく消えにくいところで、積雪は120cmに達 しました。あたり一面、1mもの積雪で雪害対策に懸命でした。常設テントは最初の うちは雪を下ろしていましたが、とうとう放棄。2つとも全壊です。  ビニールハウスは棟がしなったままになっていますが、60cmぐらいのときに雪 下ろしをしたので半壊状態ですみました。作業小屋は直径10cmの丸太も折れて、 屋根が下の材木に乗ったまま、全体が前に傾いてしまいました。  仮住まいのひまわり小屋は必死に守りましたので、損害はありません。でも、一時 は突き出しのトタン屋根がしなっていました。建設中の本宅は微動だにしませんでし た。でも、自信がなくて、無駄な抵抗としりつつ、屋根の雪を一部下ろしました。  大晦日には南側の屋根から雪を全部落とし、無理やりルーフィングをはりました。 今日2日も屋根の雪下ろしでへとへとになりました。注文の瓦はこの大雪でまだ届い てはいませんが、届くまでにルーフィングをはり終わろうと、大自然さまに抵抗して います。  しかし、大雪の山猿塾にもようやく一般の乗用車でも登れるようになりました。源 五郎さん、源五郎虫のようにあまりすいすい滑らぬように、用心してきてください。 KOHさん(#6948)  四日市も観測史上最高の積雪であると、ラジオのニュースで聞いていました。当地 でも「カメムシの多い年は大雪が降る」という言い伝えが大当たり。「猿も木から落 ちる」という教えも大当たりです。  そんななか、27日には朝日新聞東京本社の記者がそうとは知らずにやってきまし た。新幹線が遅れたうえに、福知山線も不通になり、山陰本線で福知山まできて、タ クシーで丹波竹田駅前まできました。山猿塾にはパジョロでもタイヤチエーンなしに は登れなかったので、駅まで迎えに出てタクシーを待ちました。  KOHさんも「泊まりそうにない」と予想した記者でしたが、「ここまできたら夜 逃げもできないから覚悟をきめてください」と申し渡しました。テントも全壊ですか らひまわり小屋で1泊しました。まあ避難小屋ですから、山の鉄則で折り重なってて 寝ても拒めません。  おかげで腹を決めてじっくり取材したようです。東京本社版の新聞には10日前後 の家庭欄に掲載される予定だそうです。大阪本社の紙面には掲載されても若干遅れる ようです。みなさんもぜひ御覧ください。 まこさん(#6947)  東京湾のゴミ埋め立て場はすごかったですね。あのときは御苦労さんでした。あそ こで拾ったまっさらのフロッピーケースが、まだ空のまま残っています。宝の山のゴ ミの山に驚きましたねえ。  実は丹波の山中にきて一番困っているのはゴミの山です。すべて自己処分しなけれ ばなりませんが、買い物をするたびにビニールやプラスチックなどの怪しげなゴミが わんさとたまります。自然に戻せないのはわかっていても、燃すか埋める以外にあり ません。  石油化学メーカーなどはしかるべく焼却炉で燃せば毒ガスはでないといってきまし たが、個人でそんな高価な焼却炉など備えられるわけがありません。結局、少しでも 完全燃焼させようと苦労し、ストーブを1つだめにしてしまいました。いまはしかた なくドラム缶で造った手製の焼却炉で大気汚染に励んでいます。なんたることか。 以上、1996年の書き初めでした。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
06980 ◆山猿塾だより◆63 FAGRI掲載日 96/01/04 NATSUMIさん(#6958) 今年の夏こちらの方にみえるチャンスがあるなら、御家族そろってぜひおいでくだ さい。こちらの自宅自力建設も、夏までにはある程度なんとかなっていると思います が、実は自分自身でもどうなっているかわかりません。  山猿塾を訪ねてくれる人たちにいつも聞かれることは「いつ完成される予定です か」ということです。その回答は「やってみないとわかりません」というものです。 普通なら大工だけではなく、建具は建具屋、屋根は屋根屋が請け負いますが、こちら は全部、自分でやっています。  そのうえ、それらすべてがはじめての冒険なので、やはりやってみないとわかりま せん。また、やってみないとわからないところがおもしろいところで、しかもそれを 勝手におもしろがっているので、なおわかりません。  しかし、わが家がいま仮住まい用に占拠してしまっているひまわり小屋は、なんと かあけられるのではないかと楽観しています。日程上、ほかの人たちと競合しなけれ ば、御家族で使っていただけるのではないかと思います。  また競合した場合は、山猿塾では先任権(優先権)のある人が使えることになって いますが、遠来のお客さんですから、サナギマンさんなどと相談し、なんとか繰り合 わせたいと思います。テントの場合も、巨大なブルーシートの引っ越し荷物が片付い ていればかなりの人数が可能です。  大都市周辺ではなかなか田畑も自由に借りられませんねえ。昨年4月まで住んでい た千葉県八千代市の場合も、市が運営していた市民農園に何倍もの希望者が殺到して いました。それと比較しますと、当地ではうそのようです。  引っ越しと同時に、一番近い水田1反余の持ち主から「使ってくれるのならタダで 貸しますし、耕してあげます」との申し出がありました。また「使われるならいくら でも貸します」という話が、元専業農家の弧老からも持ち込まれました。  いまは自宅の自力建設で手が回りませんが、いずれ農作物を自給できるだけの田畑 を借りたいと思っています。NATSUMIさんには、そうした当地の農家の実情とともに、 元棚田が植林されたまま「荒れたみどり」にっなているさまを、ぜひつぶさに見てい ただきたいものです。 サナギマンさん(#6971)  サナギマン果樹園のミカン、スダチ、柿、ユズも、完全に雪の下に潜っていました が、雪が溶けてようやく元気な姿を見せました。ミカンは3姉妹の収穫をあてこんで なったままにしていましたが、真っ白な雪の上に黄金色に光って姿を現しました。果 樹も植えられた環境にかなり順応する能力を秘めているのではないでしょうか。  人間も同様ではないでしょうか。田舎暮らしをまったく知らない東京人の女房を観 察していてもそう思いますし、自分を観察していてもそう思います。いろんな「危な い橋」を渡ってきたせいか、心身の生傷は絶えませんが、いまのところ自癒能力は秘 めているようです。  引っ越してまもなく何回目かのギックリ腰をやったときも、1日休んだだけで、大 量の引っ越し荷物がじっとさせてくれませんでした。今回も松葉杖をついたのは1日 だけで、大雪が私を振り回してしまいました。振り返ってみると、じっと寝ているよ り使いながら治すのが私には一番いいようです。  大雪の被害については書きましたが、メリットもありました。地元の農家との人間 関係です。朝早くからバジェロを使って山猿塾への坂道を開いただけではなく、近隣 の農道などを踏みつけました。立往生のクルマを牽引したり、病人を病院に運んだり、 けっこう活躍しました。  そのお礼に近隣の農家が、大晦日に餅や野菜を届けてくれたり、元旦早々に訪ねて くれたりで、お互いに大いに助かり、お近付きになりました。だが、こちらの病院通 いは中止で、雪害対策もあと回しになりました。今日4日、ようやく全壊テントから 生活物資を本宅の屋根の下へ運びだしました。  作業小屋の補修、あるいは解体にはかなり手がかかりそうですが、今日はみえださ んがきてくれ、助かりました。ビッコを引きながら、作業小屋の材木も運び出しはじ めました。雪解け水でずぶぬれの電動工具なども、本宅の屋根の下に運び出す予定で す。これができるのも、どうにかルーフィングができたからです。御安心ください。 やはりやるだけやっていけばなるようになっていきますねえ。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
07018 ◆山猿塾だより◆64 FAGRI掲載日 96/01/10 KOHさん(6980)  まぶたのなかに、KOHさんが、あの大雪の山道を駆け登る姿が、見える、見える。 でも、残念でした。1泊した朝日新聞の記者をJR福知山駅まで送り届けた日ではな かったかと思います。私たちは夕方早めに銭湯に行っていました。つぎの機会、1月 20日前後によろしく。 サナギマンさん(#7001)  予測どおり、いま10日午後10時現在も、またまた雪です。今回は雪より寒さに 震えています。防寒長靴も底から冷気が伝わり、びっこの足が凍えて痛みました。で も、これも自然、あれも自然です。木から落ちた山猿は、覚悟を決めてそれなりに奮 闘しています。御安心ください。  丹波にミカンが見当たらないのは、自然やミカンのせいではなく、人間のせいだと 思っています。私の同級生もせっかくミカン園を拓いたのに、自分の手で切り倒さな ければなりませんでした。オレンジ自由化のときだったと記憶しています。 Miyazawaさん(#7009)  朝日新聞(1/10)の山猿塾の記事の紹介、ありがとうございました。東京で働いてい る娘は、掲載の私の顔写真を見て「指名手配の写真みたい」と申しましたが、実物以 上にハンサムにうまく撮られていました。  山猿塾の記事が今日の日付で掲載されたのは、朝日新聞の東京、名古屋、九州の各 本社管内だけでした。地元の兵庫など大阪本社管内は後日、掲載されるそうです。  記事の反応は早く、今朝から長野、千葉、東京などから問い合わせがありました。 パソコン通信はどこ? といたもので、NIFTYとFAGRIのことを話しておき ました。そのうちにこの会議室に参加しますという人もいましたので、楽しみです。 待ってますよ!  旧知の労組ナショナルセンターの元大幹部からも電話とメールがあり、近く山猿塾 にやってきそうです。 源五郎さん(#7012)  5日は御苦労さんでした。この日、助けてもらって雪も無理やりおろしてルーフィ ングをはり終わったというのに、またまた雪です。強引に雪をおろしてでも瓦をふこ うかと意気込んでいましたが、瓦が雪で届きません。  今日10日は25cmぐらいの積雪でしたが、雪ではなく朝日新聞の記事を見た読 者からの電話などで振り回されました。うれしい悲鳴です。山猿塾を取材した記者か らも、〈今度は仕事抜きでうかがいたいと思います〉とのファクスが届きました。  しかし、山猿塾にはまだなにもないなあ。いや、なにもないのがいいのかなあ?? 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
07037 ◆山猿塾だより◆65 FAGRI掲載日 96/01/13 まこさん(#7021)  写真は正直ですねえ。ほんと、だいぶ老けてしまいました。なにせ還暦ですから。 でも、東京で働いている2人の娘が共同で贈ってくれた、赤いチャンチャンコ、実は 登山用のダウンのベストを着て、がんがん働いています。まだ若い者には負けんぞ!  かつての眼鏡も、なにせ間伐や丸太の引き出しなど、荒っぽい重筋労働で自宅建設 をはじめましたので、流れ出る汗でかえって妨げになり、平常は使わなくなりました。 また、それで困らない大ざっぱな仕事がほとんどです。  ついでにいうと、帽子はここでは室内、室外を問わず必需品です。寝るとき以外は 着用するようになりました。夏などには蜂やアブなどをたたき落とす武器となり、い まはカンナ屑や雪払いに有効です。それにその下が薄くもなってしまったし……。 (なんでこんなことをいわすのだ)  朝日の記者は〈大きな本宅の写真〉も撮ってくれたのですが、限られた紙面ではわ かりやすい看板のあるあの写真が選ばれたのではないかと思います。いずれ看板は本 宅の下の山猿塾の入り口に移したいと思っていますが、いまは手が回りません。  いまのところ雪はほとんどとけましたが、いつまた降ってくれるか? 雪の心配も なくなり、マムシが冬眠から覚めるころ、ぜひ山猿塾へきてください。うまくすると 強烈な精力剤が入手できるでしょう。 あかぼしさん(#7026)  帽子の下にはまだちゃんと生えいますよ。薄くなっただけと本人は思っています。 ただもう何年来、散髪屋には行ったことがなく、自給自足の精神で自分で刈っていま す。そういえばお坊さんも自分で刈っているのかな?  昨年もまたあかぼし芋2世をサナギマンさんたちとおいしくいただきました。どこ かで1世の種芋を当てにしていたのかなあ? またまた全部食べてしまった。今年は どうするか、サナギマンさんの采配にかかっています。責任逃れかな?  サナギマンさん。私はまだ当分自宅の自給係に徹して「食べる人」から脱却できそ うにありません。なにとぞ、よろしくお願いいたします。 サナギマンさん(#7033)  記者が拙著のなかで『偽装労連』をあげたのは、もしかして読んでくれていた拙著 のなかで一番印象に残っていたからではないでしょうか。サナギマンさんからも取材 してほしいところでしたが、なにせあの大雪の最中で、列車が遅れたり不通になった りして、時間切れになったのではないでしょうか。私の長年の新聞記者の経験からも 限られた紙面や時間のなかで勝負するのはつらいところがあります。もちろん、以上 は本人に確かめたわけではなく、私の推測です。  ミカンは大雪に枝を裂かれましたが、私はかつてのわが家の栗園を思い出しました。 毎年のように台風のたびに手荒な剪定を受けました。ミカンも大雪の剪定を受けたの だと思いました。根を着られたわけではないので、その分は勢いを盛り返してくれる ものと楽観しています。 芝田まことさん(#7034)  ほんと、久しぶりですね。実際以上にそう感じます。メールをいただいているのに、 ここでの書き込みで失礼いたします。ほかにもメールを何通もいただいているのです が、それぞれ返事をさしあげなければいれないのに、1人ひとりに返事を書けない状 況下にあります。  自宅の自力建設はさておき、雪害対策と新聞報道の対応に追われています。雪はと けても常設テントも倒壊したままで、掲載写真にある作業小屋も、折れた丸太を補強 したくらいで、前傾のまま解体するか修復するか、まだ迷っているところです。  私たちが定住してから、山猿塾もかなり変わりました。なんといっても、掲載写真 にはない、バラックでもない、本宅の輪郭が見えてきたことです。ぜひ御家族のみな さんとともに、その姿を確かめにきてください。  しかし、TVの映像になるかどうか。山猿スピリットはいたるところに充満してい ると思いますが、目に見えるモノになっているかどうか、いささか自信がありません。 ◇朝日新聞記事の反響◇  記事を見たという反応はかなりです。マスコミ関係では『夕刊フジ』『情報誌 コ ミュニティ』などから電話取材、問い合わせなどがありました。『夕刊フジ』ではコ ラムで取り上げてくれるそうです。  問い合わせなどの電話は全国的ですが、12日付けで地元、関西でも朝日新聞に掲 載されると、訪問者が増えました。今日13日にはここ兵庫県市島町で農業をはじめ たいという神戸の女性が現れました。また大阪府堺市から独身青年が突然、やってき ました。アトリエを建てるに適した土地を探しているという芸術家(?)も、間もな くやってきます。  さらにここはめったと新聞に報道されることのない小さな町のことですから、いた るところで「新聞で見ました」という声をききます。今日、注文の材木を届けてくれ た森林組合製材所の職員2人も、新聞記事を読んだせいで、あれこれ話し込んで行き ました。  というような反響で、それに対する対応で精一杯です。肝心の自宅建設の方は、せ っかく雪もとけたというのに、あまりすすみません。また雪が降るのではないかと空 を見上げつつ、あせりなさんなと自分にいいきかせています。時間が足りません。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
07049 ◆山猿塾だより◆66 FAGRI掲載日 96/01/18 ◇朝日新聞の記事への反響◇  朝日新聞に掲載された山猿塾の記事は、『アサヒ・イブニング・ニュース』に英訳、 転載されるようです。同紙の編集部から問い合わせがありました。  自宅の建設作業に専念しているため、ほとんど外には出ませんが、記事に対する反 響がその後もいろいろありました。記事で一言、紹介されたからでしょうか、「『山 猿塾だより』はどうしたら読めますか」という電話が数回ありました。「パソコン通 信で山猿塾のことを知るにはどうすればよいのか」という電話も目立ちました。  もちろん、NIFTYとFAGRI、この会議室を紹介しておきました。そのなか には、パソコン通信を使って環境問題の授業をしたいので、「山猿塾だより」を見た いが、どうしたらよいのか」という、九州のある小学校の先生もいました。  また、広島からは、その声でかなり年配に思える男性から電話がありました。だい たい同じような考えを持っているが、「『山猿塾だより』を読みたいので、パソコン を習おうかと思っている」ということでした。  これに対しては、「私はパソコンとパソコン通信を必ずしも奨励するものではな い」と話しました。その理由は、拙著『自然に学ぶ丹波山猿塾』の「おわりに」に書 いたとおりです。仕掛けられたような、最近のインターネット・ブームにも大いに疑 問を持っています。本宅建設などが一段落したら、この疑問はいずれ解明するつもり ですので、これ以上の深入りは避け、宿題にさせていただきます。  同じNITYの建築・デザインが専門のFARCDの15会議室でも、すでに自宅 の建設に的を絞って「自然に学ぶ山猿塾報告−住宅の自力建設」を10回くらい書い ています。ここでも新聞記事をきっかけに反応があり、一度、訪ねてみようという話 になりつつあります。 ◇地元での反響◇  地元の兵庫県市島町での反響は、1つの特徴があります。といっても、前記のよう に山猿塾にいてわかる範囲のことです。  女房は家事以外は東京からフアックスや宅急便で送られてくる自分の仕事に追われ、 机に向かっていることが多いので、健康のため早朝の番犬の散歩を日課にしています。 その途中、下の集落で60代なかばの女性に「新聞で読みました」と声をかけられま した。この女性は神戸に嫁いでいる娘さんから「新聞に出ているわよ」と教えられて、 急いで読んだそうです。  また、毎度、配達してもらっている酒屋のパートの60代の女性も、「埼玉に住ん でいる末の弟から電話があって知り、新聞を読んだといっていました。弟さんは東京 の大手商社に勤めており、私たちの暮らし方について「こういう生活が一番、ぜいた くなんだ」といっていたそうです。  故郷の農山村を離れて大都市に出、また都市の企業で働いている人たちは、故郷の 動向、情報にかなり敏感なようです。そして、私たちの試みにも共感するものを持っ ていてくれるようです。都会へ出て、また企業で働きつづけて、なにか感じるものが あったにちがいありません。  地元の集落、市ノ貝から大阪へ出いる次男の方も、ふるさとに帰ってくるたびに、 子ども2人を連れて、山猿塾をのぞきにきます。「市ノ貝の一番いいところを取られ ていってしまう」というのが、いつもの彼の口癖です。彼も帰ってきたいが、食べて いける仕事がないといいます。  今夜は、また別のケースの電話がありました。12年前に西宮市から同じ市島町内 に移住し木工をやっている人からでした。友人が新聞の切り抜きを送ってくれ、山猿 塾のことを知ったということでした。一度、訪ねてお会いしたいということでした。  私たち夫婦は、自分たちだけが自然豊かな暮らしを築けたらいいと思っているわけ ではありません。都市の住民や会社人間が、もっと自然と親しみ自然に学んで、自然 な暮らしを取り戻してほしいと願っています。そして、都市の人びととにも支えられ て農業や林業が再評価、再興されることを願っています。そのために都市と農村の接 点にもなりたいと思っています。  今日、材木を届けてくれた森林組合製材所の職員の1人は、隣接の集落の若手で最 近、結婚したばかりです。新聞記事を読んで「使こうてんやったら田んぼを貸したげ るで」といってくれました。1ヘクタールあるそうです。もったいない話です。ドン と胸をたたいて答えられる山猿塾に早くなりたいものです。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
07136 ◆山猿塾だより◆67 FAGRI掲載日 96/02/02 ◇昨日も雪、今日も雪◇  昨日も今日も朝は氷点下5度でした。雪が消えかけたかと思うと、また雪です。自 宅の自力建設も、瓦をふいている最中なので、この雪では作業がはかどりません。昨 日は一時、雪が消えかけたのに、コンプレッサーが凍りついてクギ打ちさえままなら ない状態でした。  今朝からは横殴りの吹雪です。屋根の下も吹きさらっしですので、木材も電動工具 類も雪をかぶっており、作業はあきらめました。山猿塾への登り道だけではなく、下 の集落の道路を確保するために、何度か集落の町道や農道でクルマを走らせました。  兼業農家がこぞって勤めに出る朝は道路もひらいていますが、日中はそのクルマの タイヤの跡も雪で消え、人の姿も見当たりません。この調子では夕刻の退社ラッシュ までに、2、3度回っておく必要がありそうです。 ◇Iターン者があいついで来訪◇  雪にふりまわされて作業かはかどらないだけではなく、最近はFAGRIの常連の みなさんとはちがって、見物の訪問者が多く、それぞれにあれこれ説明したり案内し たりということで、この「たより」の方もしばらくお休みになってしまいました。今 日は作業をあきらめたので、パソコンに向かいました。  その後、堺市から突然訪ねてくれた人が、今度は友人を連れてやってきました。い ずれテントもはりたいそうですが、「御馳走になった粕汁があまり美味しかったの で」と、前回の礼に鮭をまるっぽで2本、届けてくれました。  最近の訪問者で目立ったのは、地元にIターンして農業に生きがいをかけている農 家などがきてくれたことです。12年前に西宮市から当地、市島町内にIターンして 木工の工房を開いている夫婦がそろって訪ねてくれました。お盆やお椀を制作してい るそうです。森林資源の活用ということでは連携できるかもしれません。  Iターン組では、同じ集落の人も何度か自宅のでき具合を見にきてくれました。ま た町内の養鶏農家が2人できてくれました。有機農業研究会のメンバーでもあります。 届けてくれた鶏卵を久々に安心して生のままいただきました。彼らは「パソコン通信 を活用したいので教えてほしい」ということでした。  また、彼らは「『有機の里市島町を推進する会』の発起人会の要請書」を手渡し、 私にもきてほしいと要請して帰りました。農業、農村の厳しい状況を打開しようと、 町内の有志が結束しはじめました。  その「推進する会」の発起人には、有機農業研究会をはじめ、農業委員会、婦人会、 商工会、観光協会の代表のほか、神戸大学の保田茂教授も名を連ねています。後見人 として、町長、町議会議長、JA市島支店長も名を連ねています。  私も町ぐるみの運動になることを願っていますが、さて、自分自身はどうするのか。 有機農業の推進には賛成で、私もいろいろ実験をしたいと思ってはいますが、有機農 業にかぎらず、自然の物質循環に順応した諸産業の再編、生活全般の改革など、総体 的な視点で実験と取材、執筆をつづけたいと考えています。したがって、1つの分野 の組織にかかわって深入りするのは、ちょっと無理かな……。  これまでの山猿塾来訪者を振り返ってみますと、最もきわだっているのは、行動派 が多いということではないかと思います。いまの生活、労働、産業、文化などのあり 方になにか疑問を持ち続けていた人が、なにか決断し行動しなければいけないのでは ないかと思いはじめている反映ではないかと推察します。  だれもかれもが「自然にやさしく」とか、環境問題などを口にしますが、どうも口 だけで決断と実行に欠けているきらいがあります。私は「実力行使の時代になった」 と思っていますが、いまこそ、それぞれが自らの信じる道に突き進む決断と実行のと きであり、自らの実力を示すときです。  ところで、パソコン通信とこの「たより」を読むためのアクセスの方法などについ て、すでに問い合わせは20件を超えていますが、この人たちももこの会議室に登場 する「決断と実行のとき」も近いと期待しています。 ◇マスコミの反響◇  朝日新聞の報道以来、マスコミ内での反響もひろがりつつあります。その後『夕刊 フジ』(1月17日付)がコラム「マスコミINSIDE」で取り上げてくれました。 「ムダな消費生活を見直すため ジャーナリスト青木慧氏が開校した『山猿塾』に 続々来訪者」という表題になっています。  もちろん、私は〈消費生活〉だけを見直しているわけではありません。そもそもの 資源の活用、生産そのもの、産業のあり方を考え直そうとしています。  また東京のFM放送のあるキー局からも紹介と電話取材がありましたが、どこのラ ジオ放送局でいつ放送するかはまだわかりません。さらに今日、東京のTVキー局か ら企画にのせたいと承諾を求める手紙が届きました。  ある「ふるさと」志向の雑誌から私への執筆依頼もありましたが、これにはどうも、 あまりいい返事ができそうもありません。時間不足、力不足です。私がいま主力を傾 けたいのは、自ら1つの見本を実力でこつこつと造ることです。  当面は自宅の自力建設です。この点については建築・デザイン専門のFARCDの 15会議室で「自然に学ぶ山猿塾報告−住宅自力建設」を書き続けていますので、ぜ ひ御覧ください。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
07140 ◆山猿塾だより◆68 FAGRI掲載日 96/02/05 ◇FM福島に明日6日pm5:35登場◇  FM福島から今日5日午後、電話があり、明日6日の午後5時35分から「アウ ト・ドア・フリーク」というコーナーの電話インタビューに答えることになりました。 5分間だけですが、聞ける方はぜひ聞いてください。  内容は「山小屋に住んで、アウト・ドアのよさを話してほしい」ということでした。 が、こちらは遊びでやっているわけではないので、どうなりますか。生放送ですので、 わかりません。こちらは本心以外は話しません。 ◇山猿塾に山小屋が増えそう◇  堺市でソフトハウスを経営している人物が、1昨日から昨日まで、3回目にきて1 泊していきました。近々、またくるとか。山小屋を建てたいそうです。「まず、皮む きからはじめますわ」と、難物のひねくれ檜に取り組んでくれました。  京都のフォトジャーナリストもそのつもりらしいので、山猿塾には近年中に3戸の 山小屋が並ぶことになりそう。はたして彼らの夢は実現するだろうか。本人次第です。 ◇丸太との喧嘩に負けた◇  昨日、丸太の大引からすべってひっくりかえり、丸太に顔面をぶつけてしまいまし た。今夜、久しぶりに銭湯に通い、ヒゲをそろうとおのれの顔を見たら、鏡には「お 岩さん」がいました。いきつけのラーメン屋のおやじさんにも「どうしたのですか」 と聞かれてしいました。  「丸太と喧嘩して負けました」  と答えましたが、どこかで喧嘩してきたヤンザのようです。ほんと生傷がたえませ ん。年を知れ! 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
07158 ◆山猿塾だより◆69 FAGRI掲載日 96/02/10 ◇大雪が残酷に剪定しました◇ サナギマンさん(#7153)  またまた、昨日も雪、今日も雪です。寒波つづきで、まるで雪国に引っ越してきた 感じです。このところ朝はマイナス4〜6度の日がつづいていますし、山猿塾に宿泊 するには、冬山並みの装備が必要です。これではみなさんの出足がにぶるのもやむを えません。いまは春に備える時期かもしれません。  それに果樹、特にミカンは、大雪が勝手に荒手の剪定をしてしまいました。だから、 当分、自然さまにおまかせというのも、新たな手法ではないでしょうか。  私もこのところ自然さまにおまかせにしています。雪の間隙をぬって8面ある屋根 のうち南側の1面だけ瓦をふきましたが、あとは雪が消えかけたと思ったら、また新 たな積雪で、自然に逆らってもどうにもならないことを改めて悟りました。  そこで瓦ふきも当分、半分あきらめて、後述のように春の準備に励むことにしまし た。いつもの決まり文句ですが、まあ、なるようにしかなりませんし、また、なるよ うになっていくものです。楽観しています。冬きたれば春遠からずです。寒波もそろ そろ峠を越えるでしょう。 ◇増えた「他人の親戚」付き合い◇  寒波や雪のせいだけではなく、このところ「他人の親戚」付き合いが増え、作業の 方がお留守になりがちです。が、これも「他人の親戚」付き合いをひろげる山猿塾の 宿命で、むしろ喜ぶべきことでしょう。その点では、雪も「他人の親戚」の味方にな ってくれています。  今日も20センチ前後の新雪で、朝食前と日中にパジェロを駆って林道を下り、下 の集落の農道や町道の雪を踏んで道をあけました。早起きの農家のばあさんが、ガラ ス窓越しに頭を下げてくれました。  あれやこれやで、吹雪のなかで作業ができたのは午前中の1時間半だけ。午後は森 林組合の製材所の職員が2人、山猿塾への坂道を歩いて登ってきました。かねてから 頼んでいた燃料用の木屑を2トントラックで運んできてくれたのですが、雪でスリッ プして立往生してしまったといいます。  積み荷のある2トントラックを引っ張りあげるには、4WDでもタイヤチェーンが 必要です。装備を整えて引っ張ったのですが、途中でワイワーが切れて手間取りまし た。なにもこんな雪の日にとも思いましたが、「山猿塾は『陸の孤島』やさかいに、 燃料切れで凍死されたらいかんでね」ということでした。  森林組合の職員は、わずか1500円の木屑を2人がかりで運んできてくれたので すが、山猿塾へくるのを楽しみの1つにもしてくれているようです。土間でコーヒー を出したら、たっぷり1時間は話し込んで行きました。  「山猿塾にはいろんな人が来てやで、農家の嫁さんになりたい人はおってないけ ?」という話になりました。「婿さんがほしい農家もあるんやけど、紹介しとくれへ んやろか」という話にもなりました。われと思わん人は山猿塾へいらっしゃい! ◇春の準備◇  空を見てばかりいないで、ちょっと方針を転換しました。できるだけ早い時期に、 建設中の本宅ではまずは私の仕事部屋だけ使えるように造り、いま占拠しているひま わり小屋から仕事部屋に引っ越し、ひまわり小屋をあける計画です。早ければ春休み までに、遅くともゴールデンウイークまでになんとかしようと思います。  そうしないことには、せっかくのひまわり小屋をみなさんに自由に使ってもらえま せんし、女房も狭い小屋のロフトでは仕事が思うにまかせません。私もパソコンのプ リンターさえ使えない状態で不自由しています。  春休み中には小屋を開放して、キャンプ大会のようなイベントも計画できないだろ うか? てなことを考えています。いま建設作業だけに打ち込んでいますが、FAG RI以外にもひろがった「他人の親戚」のみなさんにも、集まっていただく機会をつ くらなければ……。 ◇テレビ朝日の取材がはじまりそう◇  東京のテレビ朝日の担当者から、来週には山猿塾を企画化するための下見と取材に 行きたいという電話がありました。どう企画化するか、どんなふうに映像化できるか、 私もいろいろ考えはじめていました。できる範囲で協力をおしまないつもりです。  参加のみなさんも御協力をお願いします。「目立ちたがり屋さん集まれ」なんて キャンプ大会も思い付いているのですが、企画の決定権は相手にあります。いずれに しても、山猿塾スピリットや参加のみなさんの気持ちを、広く全国の人びとに知って もらう、よい機会だと思います。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
07215 ◆山猿塾だより◆70=春休み企画の提案 FAGRI掲載日 96/02/20 ◇テレビ朝日の企画は先送りに◇ 芝田まことさん(#7165)  東京のテレビ朝日の企画化は先送りになりました。その発案者は編集の関係者でし たが、春先はプロデューサーが多忙だからということでした。山猿塾は別に春先だな んてせっかちに考えていませんが、映像化するにはもうすこし時間をかけて練り上げ る必要があるでしょう。  それでも、編集者はあの季節外れの暖冬の日、14、15の両日に東京からやって きました。夜はひまわり小屋で同宿し、15日には建設作業の半割の裁断を手伝って くれました。個人的にも拙著や自宅の自力建設や山猿塾に関心をもっていてくれるよ うです。もうすこし企画化については考えてみますといっていました。 ◇今度は読売テレビから取材依頼が◇  テレビ朝日と入れ代わるように、今日20日、大阪の読売テレビの記者?から電話 があり、山猿塾を取材したいとのことでした。民報関係者の講演の集いで、その記者 は私の下手な話を聞いたことがあるそうで、私については知っているようでした。  なんでも、都会生活にあきたらず自然のなかの山猿塾へやってくる人たちを映像化 したいということでした。マスコミに振り回されない範囲で、できるかぎり協力した いと思っています。参加者を中心に取材したいそうですから、参加のみなさんもよろ しく御協力をお願いします。 ◇春休み企画の提案◇  季節はずれの陽気が去って寒がもどった16日の早朝から、ウグイスがいっせいに 鳴きはじめました。山水の水路の流れにそって、雪の下で育っていたセリが姿を見せ ました。K絶えつつある淡水藻を再生するOHさんが試みも、成功していました。山 水の溝にはその藻が一面に増えています。やはりもうすぐ春です。  それでも、あいつぐ寒波と積雪で自宅建設、特に瓦ふきはすすみません。その苦心 の様子は専門的になりFAGRIのテーマから離れがちですので、建築・デザイン専 門のFARCDの15会議室で、不定期にぼちぼちと「自然に学ぶ山猿塾報告−住宅 自力建設」に書いています。  さて、私たち夫婦が当地に引っ越して定住し、ひまわり小屋を占拠して仮住まいを はじめてから、はや10ヵ月になろうとしています。自宅建設は当初の計画からする と大幅に遅れていますが、それもやっているうちにだんだん欲がでて計画がふくらん できたためです。特に自力建設に徹して、屋根ふきもガラス窓なども地元の資源の活 用に徹したからです。  それにしても、みなさんに開放したはずのひまわり小屋を、あまりにも長い間、仮 住まいで占拠しすぎています。また、私たちが引っ越して当地に定住してからは、期 間を決めずに、どなたでもいつでも都合のよいときにきてくださいというスタンスで やってきました。  この間は、個々ばらばらに個人あるいは家族が山猿塾へきてくれ、それはそれで個 別の「他人の親戚」付き合いを深めひろげることができました。しかし、参加者や訪 問者のあいだの交流はほとんどありませんでした。  FAGRIの関係者の参加者はパソコン通信での交流の機会もあり、私たちの定住 前のキャンプ当時からの交流があります。だが、拙著『自然に学ぶ丹波山猿塾』の読 者や朝日新聞の山猿塾の記事の読者の訪問、見物がふえ、新しい参加者が増えました。  1昨18日の日曜日にも、ジャーナリスト志望の22歳の青年が突然やってきて、 丸太の皮むきや半割材の裁断を手伝ってくれました。FAGRI関係者以外から山小 屋を建てたいという希望者も2人現れ、その準備期間にわが家の本宅建設も手伝って くれるようです。また、Iターン農家などが訪ねてくれるようになりました。  そこで、今後は個々ばらばらの私たちとの「他人の親戚」付き合いだけではなく、 参加者間の交流の機会も並行してもうけていきたいと思います。わが家の本宅の1室 ができ次第、ひまり小屋も空けたいと思っていますので、それを機会に「春休みキャ ンブ山猿塾」(仮称)をひらきたいと思います。  わが家の本宅への引っ越しは、春休みまでとなるとかなり強行軍になりますが、無 理を承知でがんばってみます。建設作業だけではなく、引っ越しそのものもたいへん です。でも、ジャーナリスト志望青年やフォトジャーナリスト、小屋造りの希望者ら も手伝ってくれそうなので、それも期待して強行したいと思います。  わが家の都合は、できるだけ遅い方が建設、引っ越しなどに都合がよいので、春休 み後半の4月に期間を決めて企画したいと思います。企画はみなさんと相談して決め ていきたいと思います。  いまのところ、わが家で可能な企画は、「清流の小粒米」の精米から試食会まで、 あるいは丹波の餅米を使っての餅作りなどです。できれば引っ越しや明け渡すひまわ り小屋の跡片づけなども助けてほしいなあ。今回は自炊燃料や焚火の資材なども、近 隣の森林で間伐材や下枝を活用していただきたいと思います。  サナギマンさん。サナギマン果樹園などの農作業など、参加者のみなさんでできる 企画を提案していただけませんか? ほかの参加者のみなさんも、希望、提案をよろ しくお願いいたします。  また、この春休みの催しは、テレビ取材の機会にもなるはずです。記者は参加者を 取材できる機会があれば、一緒に3泊4日程度はりついて取材したいような話をして いました。 ◇棚田ネットのみなさんへ◇  議論を拝見しています。成果を期待しています。私も関心がありますが、いまのと ころ山猿塾と自宅建設で精一杯です。しかし、実は山猿塾そのものが棚田(当地では 山田)を活用したものです。  当地はすでに山田はたいがいが植林され「荒れたみどり」になっています。裏山の 杉も突然、倒れて荒れています。水田にいきなり植林したため根ぐさりがきているた めのようです。今冬の大雪でもかなり荒れました。「金になる」とだまされて植林し たイボ杉はただ同然で、竹が入り込んで放任されています。  しかし、山田はかつての農家の汗の結晶です。山猿塾の敷地は耕作放棄になっては いましたが、元の持ち主は年に何回か耕し農地として維持していたものです。すでに 植林の山に囲まれて孤立していました。  3枚の山田が山猿塾の敷地ですが、3枚の田をつなぐ道路をつけようと石垣の一部 を壊しましたが、涙がでる思いでした。オーバーハングになってすぐ崩れそうな石垣 も、少しでも耕地面積を増やすために苦心して石を積んだものでした。見かけとちが い容易に崩れないようになっていました。  ついでのおりにでも、山猿塾においでになれば山田がたどってきた歴史と現実が見 えます。私たちの山猿塾もかつての山田を最大限に活用しようと試みています。ぜひ、 おいでください。野崎さんが強調している農家との接触、私のいう「他人の親戚」付 き合いも深まりつつあります。
目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ