山猿塾だより 丹波山猿塾だより 丹波山猿塾だよりバックナンバー

ここは、丹波市島で山猿塾を主宰する青木慧さんからの便りのコーナーです。


目  次
◆山猿塾だより◆161-キャンプ参加予定 FAGRI掲載日 97/10/15 ◆山猿塾だより◆162-汗をかく百姓仕事 FAGRI掲載日 97/10/18 ◆山猿塾だより◆163-作付け計画 FAGRI掲載日 97/10/22 ◆山猿塾だより◆164-食糧自給自足へ FAGRI掲載日 97/10/23 ◆山猿塾だより◆165-風景も変化 FAGRI掲載日 97/10/26 ◆山猿塾だより◆166-拙著の発売予定 FAGRI掲載日 97/10/28 ◆山猿塾だより◆167-キャンプファイヤー FAGRI掲載日 97/10/29 ◆山猿塾だより◆168-御苦労さんでした FAGRI掲載日 97/11/04 ◆山猿塾だより◆169-このところ専業百姓 FAGRI掲載日 97/11/07 ◆山猿塾だより◆170-拙著の発売と広告 FAGRI掲載日 97/11/09

Contents Copyright 1996,97 Satoshi Aoki

11445 ◆山猿塾だより◆161-キャンプ参加予定 FAGRI掲載日 97/10/15 サナギマンさん(#11435)  お忙しそうですね。横着栽培の大豆、黒豆などの成果を見てもらいたかった。黒大豆 はキャンプまでなんとか持ちそうです。大豆も当地に適しているようです。種子用だけ 残して、あとは全部、消化してしまいました。  味噌でも醤油でもなんでも、最大限に自給していくつもりです。輸入が増えているニ ンニクも作る予定で種?を買ってきました。やはり輸入が増えているショウガも作る予 定ですが、作る時期や種の入手方法がまだわかりません。  秋の野菜類の種子も一通り入手し、野菜畑も拡張しました。が、ほとんど雨が降らな いので空を見上げています。キャンプのころには、山猿塾も一変していますよ。  サナギマンさんと相談して、計画的に輪作をひろげていきたいと考えています。種子 もできるだけ自給していくようにするつもりです。やる気ですよ! Nack準備委員長どの  その後、体調はいかがですか。私は毎日のようにがりがりと土方をやっています。調 子は最高です。道路工事もほぼ完了しました。駐車も作業小屋の裏の坂に2、3台は可 能です。かなり広くなりました。  FAGRI以外のキャンプ参加の予定は、何人かから連絡がありました。京都の山本 さんは2日夕方からきます。三成青年が「世界旅行」から帰国したという手紙が届き、 参加したいということです。  また、次作の『やったぜ! わが家を自力建設』に登場の元猛烈管理職さん、ゼネコ ンさんが新刊見本を手にしたいこともあって、「のぞこうか」といっていました。拙著 はとりあえず見本が1日に100冊届く予定です。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11464 ◆山猿塾だより◆162-汗をかく百姓仕事 FAGRI掲載日 97/10/18 まこさん(#11445)  〈新刊本は2冊の入手を希望〉=毎度ありがとうございます。前回、見ていただいて からもかなりいろんな家具などを制作しています。ぜひまた実物も見てください。  万が一、小屋からはみ出しても、予備のテントが2張りありますので御安心ください。 今回はテントを張れる面積もいつもよりかなり広くなっています。 ◇土方労働と汗をかく農作業◇  単行本を1冊書き終えたので、このところ目一杯汗をかいています。実に快適です。 町道から山猿塾までの約200Mの農道、林道の補修を終わりました。作業小屋の後ろ の道路を駐車スペースとして拡張しました。  土方仕事はツルハシと一輪車だけが頼りでした。ツルハシもすっかり磨耗して短くな ってしまいました。そろそろ新調しどきです。  田圃をそれだけ削りましたが、田圃の表土を活用し畑を作りました。ばらまき小豆を 収穫し稲城(豆城)にかけました。農家らしい風景になりました。ばらまいた小豆がい つも草刈りのじゃまをしていたので、草も刈りました。小麦の種子が届いたので、この あとにまくき予定です。  作った畑には、白菜、からし菜、水菜、ニンニクなどを作付けしました。さらに池の 残土を活用し畑を作ります。菜ばなやエンドウなども作付けする予定です。サナギマン 果樹園など下の田圃に下りる道路も造って、その土も畑に入れるつもりです。  目一杯汗をかいていると、つぎの本業の単行本のテーマがつぎつぎと浮かんできます。 農作業は「脳作業」をも刺激してくれます。つぎは『兼業農家のすすめ』もいいな、な んて考えています。 ◇豊かな樹皮の養分◇  当地ではすでに稲刈りが終わり、イノシシ防除の電気柵も通電をやめたためか、下の 田圃にイノシシがきました。サツマイモとサトイモのうねを通り抜けて、本宅前の駐車 広場のすぐ下を掘り返していたので、すぐそれとわかりました。  不思議にも作物にはなに1つ実害はありません。やってきたのはイノシシの子どもの ようです。通ったあとも細く、掘り返した規模も小さかったからです。いつかムカゴを ばらまいていたので、それかミミズが目当てだったようです。  小豆はまだ青いものがおおいのですが、イノシシに収穫されないうちにと思い、稲城 で熟させることにしました。下の農家では小豆を鹿にやられました。まるで鹿鳴塾のよ うに裏山のすぐ近くで鹿が鳴いています。  小豆を収穫してわかったのですが、山積みしていた檜や杉の樹皮の近辺のできが最も よく、ミミズも増えています。イノシシもそのあたりを掘り返していました。  腐食しきってはいませんが、樹皮にはかなりの養分があります。樹皮や刈った雑草を 堆肥代わりに使った畑では、人参、大根の成長が早かったようです。オガクズ、カンナ 屑とともに樹皮を肥料として有効に活用していこうと思っています。  樹皮は長持ちする肥料でもあります。樹皮を堆肥にして人参を作ったあとには、なに も肥料を追加せずに大根をまいてみましたが、大根も育ちがいいようです。即効性の化 学肥料などは使わず、長持ちする土つくりを心掛けます。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11484 ◆山猿塾だより◆163-作付け計画 FAGRI掲載日 97/10/22 サナギマンさん(#11479)  作付け計画を相談しなければいけませんが、がんがん作付けしています。書き忘れて いましたが、タマネギは苗を150本、農協に注文ずみです。キャンプ後に受け取りま す。エンドウも土手に植えるつもりで購入ずみです。ソラマメはまだです。  自給しはじめて気付いたことですが、人間ってかなり食いますね。大豆も種子用だけ 残し、夫婦2人だけで全部、消化してしまいました。黒大豆も食ってしまいそうです。 野菜類も相当作付けしないと自給自足できません。  そんなわけで野菜畑を拡張中です。狸の餌場の堆肥も使いつくしましたので、樹皮と オガクズでの堆肥作りをかね、一昨日から駐車広場とサナギマン果樹園のあいだの斜面 の樹皮とオガクズ、焚付け用木屑などを整理し、斜面に細い道を造成中です。  なかなかの重労働ですが、農作業に便利なように、一輪車が通れる程度の道を造って います。今日にも開通します。もともと地元の集落の農家が浄化槽を設置するときに出 た残土で埋め立てたところですので、斜面を削った土は畑に使えます。  道造りで出た土は、本宅西側の畑に入れました。また、サナギマン果樹園のミカンと 柿などのあいだに放置していた樹皮に刈った雑草を加え、その上にも土を入れています。 タマネギの苗を発注していたことを忘れていたことに気付いたからです。  下の田に山積みになっている樹皮もいくぶん使って、タマネギ用の畑を急増中です。 斜面の道は単に運搬用通路としてだけではなく、斜面になにかを作付けし、作業をやり やすくするためです。  まだかなり燃料用木屑が残っていますが、ここにイチゴを移植、植え付けたらどうで しょうか。日当たりも一番よいところです。かつてのわが家では、栗山の急斜面に土崩 れ防止のイチゴを放任栽培していましたが、ここの方が適地です。  果樹はもっとほしいですね。道路拡張でわかったのですが、作業小屋裏の石垣がかな り崩れていました。その補修をしながらここの駐車兼用道路を広くしました。  この道路と石垣の補強になるような果樹を植えようかと思っています。なにが適して いるでしょうか。ブドウを作業小屋の屋根の上にはわせるのもおもしろそうです。  ちょっと山岳農業に近くなりますが、斜面の土砂止めを兼ねた果樹、野菜の栽培を試 みています。かつてのわが家には急斜面の土砂止めにユズの巨木も茂っていました。だ からというわけではないですが、ユズの移植も考えています。  実は農閑期の冬場に、外トレイの横に自力で間伐材の車庫兼物置を建てようと計画し ています。この計画を実行するとユズは日陰になってしまいます。もっと大きくなれば ここでもだいじょうぶとは思いますが、どうでしょうか。これは相談です。  いたるところに目一杯作付けします。これだけの土地を最大限に活用して輪作し、農 薬、化学肥料、大型農機などもできるだけ使わないで、どこまで自給自足できるか。汗 をかく農業の1つの実験のつもりです。  マムシが冬眠したら、冬眠場所探しもかね、石垣のササ刈りを始めます。お茶の木を 復活させるとともに、雑木も活用します。石垣を生かした果樹か農作物がないものか考 えています。土地を入手前には栗が1本茂っていました。  コナラやミカン、柿、サクランボなどの樹木と果樹はいずれ成長し、椎茸のほだぎや 果実は自給できる反面、日陰になるのでその下での畑作はできなくなります。そうなる と、田畑を借りなければ自給自足には足りなくなるだろうと思っています。  借りるとなると、近隣の田畑との関係で横着栽培ができるかどうかが問題です。とり あえずは、農家がもてあましている田圃の土手の草刈りを引き受け、そこに大豆、黒大 豆などを作らせてもらう新手の作付けを思案中です。  これらは第三種兼業農家への道程です。また、地元の眠れる森林資源=間伐材を活用 して創作健康住宅を建てたのにつづく、自然に準じた暮らしの構築の過程です。そのビ ジョンに従って作付け計画も立て、毎日生き生きと汗をかいています。第三種兼業農家 に不可欠の筋力、腕力なども、かなり強くなってきました。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11489 ◆山猿塾だより◆164-食糧自給自足へ FAGRI掲載日 97/10/23 Nackキャンプ準備委員長&参加のみなさんへ ◇あらゆる食糧の自給自足をめざして◇  97秋キャンプ山猿塾まで1週間になりました。道路工事も終わり、農作業ではりき っています。自分の食う物くらいは自分で作る第三種兼業農家をめざしていますが、人 間はたらふく食うので自給自足もなかなか容易ではありません。  腹をくくってもう一度考え直しました。食糧をスーパーなんかに買いに行かなくても 自給自足できる暮らしをめざします。そして、キャンプ山猿塾の食糧も、スーパーへ行 かなくても自給できるような基盤を築いていきたいと思います。  まずは本宅や3つの小屋、さらに車庫兼物置予定の敷地もふくめて700坪の土地を 最大限に活用し、食糧一式を生産するようにしていきたいと思います。いま最も備えが ないのは動物性蛋白質の生産です。  いまの池は水量から見て、養殖魚の生産はあまり見込めません。そこで、まず鶏を飼 うようにしようと思います。農閑期の冬場に、間伐材で車庫兼物置とともに鶏舎も自力 で建てます。  鶏舎は昨日開通させた斜面の新しい道の上、作業小屋とひまわり小屋の前あたりに建 てる予定です。斜面を活用し、肥料となる鶏糞が自然に乾燥し集められる構造にします。 ヒヨコも孵化して自給自足していくため、単雄舎(1室に雄1羽に雌10−15羽)に するつもりです。  鶏肉も食いますので、常時20羽くらいは維持していくべきでしょう。サナギマンさ ん。いつかヒヨコ(初生雛)が入手できるという話でしたが、いまでも可能でしょうか。 肉用、採卵兼用の在来種が最適です。育雛器も自力で造る計画で、寒雛(春雛)から育 雛を始めたいと思います。  飼料の自給自足を考えると、当地では草食動物が適しています。まず養鶏が成功して から再検討します。鶏の餌は当初は購入飼料に依存せざるをえませんが、次第に飼料も 自給できるようにします。 ◇97キャンプ山猿塾の食糧◇  キャンプのさいの食糧も、できるだけスーパーなどで買うのをひかえ、サナギマン菜 園やわが家の自給食糧を活用するように工夫してください。すぐにすべてを自給するこ とはできませんが、そういう状態をつくっていきましょう。  そういう目標を持って、今回は収穫したものを活用し、いろいろな作物を作付けしま しょう。みなさんに収穫物を味わってもらい、それ以上を汗をしぼりとってやろうと、 てぐすねを引いています。  いまの作物の状況から収穫できる可能性と提供できる可能性を以下に予測しておきま す。()のなかは私が観察した可能性の度合いです。 1)さといも(収穫提供100%) 2)サツマイモ(100%) 3)南京豆(100%) 4)ミニトマト(100%) 5)フユガキ(100%) 6)スダチ(100%)−以上ですよね、サナギマンさん。 7)稲城の小豆脱穀(天気次第で収穫50%、提供必要量100%) 8)丹波黒大豆(枝豆分収穫提供100%、全体の収穫50%) 9)大根(収穫50%、提供必要量50%) 10)ほうれん草(収穫50%、必要量30%) 11)間引き菜=大根、白菜、(収穫100%、必要量100%)、水菜、チンゲンサ イ、なばな(収穫20%、提供20%) 12)隣接の柿(いずれも100%) 13)池の魚(?%)−どうかな? KOHさん。 14)ジャガイモ=子どもたちの宝探し用(いずれも100%)  人数や献立によっては、かなり自給できそうですね。米は地元産を用意しておきます。 雨天でもある程度の作業はできるように、クルマを移動し作業小屋の作業スペースを空 けます。  小豆などの脱穀用に足踏み脱穀機とトウミを借用の予定です。とれたての黒大豆、小 豆を入れた御飯もいいよ。たらふく食ってその2倍の汗を流してください。  汗かき作付け作業予測。 1)ありったけの土地に小麦の播種(100%) 2)イチゴの斜面、石垣への移植(?%)−時期はどうかな? サナギマンさん。 3)タマネギ植え付け準備(100%) 4)サナギマン菜園整備植え付け(100%)  以上は可能性です。当日、現物を見てから、Nackさん作成案内の催しに適当に組 み入れて活用してください。とくに1−3の作業は、キャンプ後に私が1人ででもやれ ます。助けてもらえば、それだけ車庫や鶏舎が早く完成します。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11495 ◆山猿塾だより◆165-風景も変化 FAGRI掲載日 97/10/26 濁酒さん(#11490)  お久しぶりです。濁酒さんの「甘酒のできすぎ」を飲みたいなあ。私もいずれ自給す るつもりですが……。  今度は濁酒さんのように鶏が「かわいい」と感じられるような飼い方をしてみたいと 思います。実は私の父が農場をやっていて、私は5男なのに一番後くじを引かされて、 農場の後継者でした。  農場は養鶏孵化、果樹、畑作の多角経営でしたが、孵化場が中心でした。満卵にする と電気孵卵器は4万卵入りました。万単位で大量生産していると「かわいい」なんて感 情は生まれませんでした。  もちろん種鶏も飼っていまして、受精率、孵化率を高くするため、最も自然な飼い方 をしていました。果樹園が種鶏の運動場でした。いまでいえば放し飼いの鶏肉や卵を食 って育ちましたので、このごろの水膨れの鶏肉は食うのも気が引け、卵も生では食べま せん。  自然の原理に即して飼い、冷蔵庫へ入れなくても長持ちして生きている受精卵を生で 食べたいのです。大量生産で殺生も重ねてきましたので、今度はかわいがって、御馳走 になろうと思っています。でも、20羽前後でも家族にして家のなかにまで入れてやる と糞だらけになりますね。  当地では鶏の天敵は主にイタチとキツネです。イタチは真っ昼間から水路伝いに走り 回っています。天敵を近付けないために番犬のゴンも鶏舎に同居させてやろうかといっ たら、女房に反対されました。 樵さん(#1149)  山猿塾は1年前に比べたら風景まで変わりました。きっと驚かれると思います。とく にこのところ、著書を書き上げてから、土方と農作業に専念していますので、夏からき ていない常連さんでもその変化に驚かれるでしょう。  ここの土地を買って以来数年間、石垣と土手のササと雑木を放置していましたが、先 週末からはササを刈り始めました。秋のキャンプまでに刈り終わるというのが、私の当 面の目標です。刈りすすむにつれて、風景が目に見えて変わっています。  刈ってみてわかったのですが、ひまわり小屋と開拓小屋のあたりは石垣ではなく、本 宅前のように土手になっていました。ここも本宅前の横着畑(といっても御存じないで すね)のようにしようと思います。  来年はここに大豆をまくつもりです。横着畑には各種の野菜をつまみなとしても食べ るつもりで厚まきにしていますが、とりあえずいくつかの野菜の苗をササの根っ子のあ いだに移植してテスト栽培を試みようと思っています。私は労働生産性一本槍ではなく、 土地生産性を重視しようと思っています。  なお、大阪からは福知山線(最近は大阪あたりでは宝塚線といっています)を利用さ れるのが最適です。また、下車する丹波竹田駅は無人駅ですので、終点の福知山まで持 って行かれないように気を付けてください。快速も途中から各駅停車になり、無人駅で も停車します。駅にはNackさんの高級車が待っているでしょう。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11503 ◆山猿塾だより◆166-拙著の発売予定 FAGRI掲載日 97/10/28  『自然に学ぶ丹波山猿塾』につづく26冊目の拙著は、つぎのように発売の予定が決 まりました。ぜひ、お読みいただいて、この会議室で御批判なり御感想なりをお願いし ます。 青木慧著『やったぜ! わが家を自力建築−毒漬け住宅に住めるか』 発売予定=11月7日(山猿塾にはキャンプの初日の1日に到着予定です) 定価=1,600円(キャンプ参加者には著者割引を活用し1,500円で) 発行元=汐文社(ちょうぶんしゃ)  なお、朝日新聞の29日付か30日付かに広告が掲載されるはずです。  日本の林業や農業を頭に置いて、実地体験で取材したものです。なにより実物の創作 住宅を見ていただきたいですが、実物がわかるように証拠写真をふんだんに使っていま す。ぜひ御購読いただいて、私の本業の再出発の力になってください。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11508 ◆山猿塾だより◆167-キャンプファイヤー FAGRI掲載日 97/10/29 Nack準備委員長どの  26日、氷上町の独身女性Tさんが、26日(日曜)にやってきて、小屋や冷蔵庫な どを掃除してくれました。毎度、ありがたいことです。現地事務局さんが足踏み脱穀機 とトウミを貸してくれました。これも感謝です。  斜面のササ刈りの邪魔になっていた木や木屑を整理したら、かなりキャンプファイヤ ー用の燃料が集まりました。火を持ち歩く不届き者がいなくて、異常乾燥や強風がなけ れば、豪快に燃しましょうか。  急に寒くなってきたので、わが家の土間には昨日、薪ストーブを備え付け試し焚きし ました。そして、今日は1日中、薪割りです。2週間分くらいは用意しました。今年は 燃料も自給自足できそうですが、薪割りなどが一仕事です。  今日、神戸新聞の記者から偶然、電話があり、期間中に1日、取材にくるといってい ました。案内は送っていませんでしたが……。 サナギマンさん(#11499)  貴重な富有柿の半分(1コ)を何者かに取られました。そのかわり、斜面のササ刈り のついでに、裏山の渋柿をいくらか収穫して焼酎で渋抜きをしています。  果樹で斜面を活用し、ブドウ棚を作業小屋の屋根の上に造ったらでうでしょうか。裏 の坂道を拡張しましたので、屋根に上がりやすくなりました。屋根の傾斜も緩く、ブド ウ棚は夏に日除け代わりにもなります。  ヒヨコは育雛器からの自給自足になりますので、寒雛ではなく、3月ごろの初生雛に なりそうです。だから、あわてません。雌雄無鑑別なら50羽くらいほしいです。鶏冠 が伸びてきた順に、御馳走になろうかと思います。男はつらいよ。 濁酒さん(#1500)  〈専門家〉なんて苦手です。私は「専門がないのが専門」というのを売り物にしてい ます(ああいえばこういう、うるさいやつ)。  わが家はネコの出入りも自由です。かつて親父は、鶏舎にやってくるネコを捕まえて はすき焼きにしていました。御相伴にあずかれるのは、私くらいのものでした。 芝田まことさん(#11504)  〈生活再建〉が〈人生再建〉に変わりましたが、なにかあったのでしょうか。EIS ALの諸経費が気になっています。  子どもまで貧乏ひまなしという時代ですか。いつもなにかに追いまくられているいま どきの子どもは気の毒です。私が子どもだったら開き直っているでしょう。 まこさん(#11507)  Nackさんは案内にああは書いていましたが、山猿塾はけっこう臨機応変にやって いますので御安心ください。Nackさんも承知のスケだと思います。また、コッフェ ルなどのキャンプ用品も一式あります。  私もいろいろ書いたりいったりしてますが、適当にどうにかなっています。なるよう になっていくというのが信条です。ただ、いうだけはいうというのも信条です。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11552 ◆山猿塾だより◆168-御苦労さんでした FAGRI掲載日 97/11/04  97秋キャンプ山猿塾に参加のみなさん、御苦労さんでした。ことに出発まぎわのト ラブル発生にもかかわらず、全日程で奮闘のNack準備委員長さんはお疲れさんでし た。 ◇横着麦まき丁か半か◇ まこさん(#11545)  渋滞で7時間とは1日の実働時間になりますね。遠路を御苦労さんでした。小麦の不 耕起栽培はどうなっていくか楽しみです。私は種蒔きの途中で買い物に出てしまいまし た。あとで見ると、まこさん、Nackさん、樵さんが予想以上にていねいにまいてく れていました。  私はより横着にまき残しの畑にまいておきました。かなり種子が残ったので、崖や急 斜面などにもばらまきました。それでもなお、種子が残りましたが、消毒薬が入ってい る可能性があるので食用にはまわせません。  農場を経営していた親父が、かつて移植麦栽培法を開発していたことを思い出し、横 着栽培と併用することにしました。どこか土の軟らかいところを探し、そこを小麦の苗 床にして残りの麦を厚まきにして苗を育てます。  不耕起栽培の小麦がササや雑草とどこまで競争できるか観察しつつ、発芽や発育の悪 い個所は周辺のササや雑草を刈ってから、小麦の苗を移植してみます。とくに乱暴者の 私があとからまいたところは、非常に乱雑です。筋まきの間隔もめちゃくちゃです。発 芽してみないとどこにまいたかも不明の状態です。  麦踏みができるとしたら、雑草刈りと同時進行になるでしょう。麦踏みしながらの雑 草刈りになるでしょう。私よりまこさんの体重の方が小麦の分蘖(ぶんげつ)を促進す るでしょうから、おいでを期待しています。 ◇キャンプ食糧自給◇  自分の食べるものくらいは自給する第三種兼業農家を目指していますが、当座はせめ てキャンプのさいくらいはスーパーへ走らなくてもすむような食糧生産をめざしたいと 思っています。  篤農家のサナギマンさんのひごろの労働の成果もあって、キャンプ食糧自給率はかな り高くなったのではないでしょうか。わが家の横着作物のなかからも、大根、ネギ、小 豆などを提供できたことをうれしく思っています。  ばらまき栽培の小豆は、みなさんにトウミ(唐箕)をかけてもらいました。トウミも 足踏み脱穀機も簡略で有用な機械ですね。借り物ではなくほしくなりました。小豆はま だ選別も計量もしていませんが、わが家の自給分はこれで十分です。  3日の昼食には、1日に舞鶴のAさんからいただいたアイガモ栽培の米と餅米に小豆 を入れました。赤飯の味はいかがだったでしょうか。雨が降らず、野菜類の間引き菜の 方はさっぱり成長しなかったので間に合いませんでした。  横着栽培の丹波の黒大豆は参加のみなさんを待っていましたが、出番がありませんで した。Aさんが持ってきてくれた黒大豆の枝豆をいっしょにいただくのが礼儀と心得ま した。つぎの機会に黒豆御飯にでもしたいと思います。  さて、つぎのキャンプにはなにが自給できるだろうか。麦秋キャンプが実現できたら 幸運です。イチゴばどうなるだろう。わが家の自給自足の範囲を次第にひろげようと計 画しています。 ◇異常乾燥下のキャンプファイヤー◇  今秋は当地でもほとんど雨がなく、異常乾燥がつづいています。自力建築も終わり燃 えやすい木屑類もかなり片付けましたので、予想される寒波のなかで、なんとかキャン プファイヤーができないものかと、風で飛びにくい太い丸太などを集めて用意していま した。  前回のたよりで〈火を持ち歩く不届き者がいなくて、異常乾燥や強風がなければ、豪 快に燃しましょうか〉と、提案していたとおりです。暖房のためだけではなく、木が燃 える火は魅力的です。ことに機会が少ない子どもたちは喜びます。必ずといってもいい ほど火にさわりたがります。  私は親(とくに父親)の子どもに対する制御を期待し、異常乾燥のなかでもキャンプ ファイヤーに踏み切りました。雑草が枯れ始める晩秋の焚き火のコツは、火の勢いが持 続して広い範囲の草が乾いて燃え移らないうちに、一気に燃し必要な範囲内の草を燃し てしまい、その範囲外に燃えひろがらないよう焚き火をまとめることです。  最初の段階で周辺の雑草が燃えるさいに、いつも火をオモチャにしたがる少年に「草 も燃えるだろう」と、現物を見せて説明しました。だが、次第に火を焚き火の範囲外に 持ち出しはじめました。  私は火を付ける前から決めていました。親がいっても聞かない場合、あるいは親がや めさせもしない場合、親の代行はできるだけ避け、どんなに燃えていても、キャンプフ ァイヤーは即刻中止する。これは相談の余地なしです。問答無用です。  好天下で雑草も乾燥している状態では、炎がひろがっても見えません。私自身が若い とき、タバコに火を付けたあとのマッチの火を消したつもりで火も見えず、山火事を起 こした経験があります。ひろがる火に気付いたときには手に負えません。  驚かれた人もいるでしょうが、私は時を計っていました。雑草を焼いた焚き火の範囲 から、少年が火を持ち出しはじめました。父親も口先では注意しましたが、やめません。 私も注意しましたがやめません。即刻中止です。池の水をぶん投げました。  火事を出せば私たちもここでは住めなくなります。「遊びにきていた子どもの不始末 で……」という言い訳は、絶対に通用しません。ここに住んでいる私の責任です。火を 出すということはそういうことです。  火事は他人の財産も灰にします。しかも、いま山に火が入れば人力での消火は不可能 に近く、何日燃えつづけるかわかりません。  「実力行使でキャンプファイヤーを中止」というのは、私が火を付けるときからの決 断でした。いうまでもなく、今後も私の実力行使は変わりません。だれになんといわれ ようと、それはここに住む者の責任だと思っています。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11602 ◆山猿塾だより◆169-このところ専業百姓 FAGRI掲載日 97/11/07 月子さん(#11527)  はじめまして。キャンプなどでごったがえしていて、後回しになってごめんなさい。 百聞は一見にしかずです。ぜひ、山猿塾へおいでください。秋のキャンプは終わりまし たが、「いつでも、だれでも、どうぞ」というのが山猿塾の建て前です。  くわしいことは、2冊の拙著に記しています。2年半前、当地に引っ越すまでの経緯 は『自然に学ぶ丹波山猿塾』(青木書店刊)に書きました。当地に引っ越して定住後の 自宅の自力建設については『やったぜ!わが家を自力建築−毒漬け住宅に住めるか』( 汐文社刊)にまとめたばかりです。いま書店の店頭に出ているはずです。 JP3KVNさん(#11557)  キャンプ初参加、御苦労さんでした。近いことですし、これを機会に今後もどうぞ。 当地でホウレンソウを2度作付けしましたが、育ちがよくありません。味の方は柔らか くておいしいのですが、土壌が酸性になっているのかもしれませんね。ホウレンソウの 町の担当者に診断してもらわないといけません。 サナギマンさん(#11560)  先祖が食糧に選んだ植物たちは、ほんとうに生命力がありますね。放任でも横着でも 予想以上によくできます。私も感心しています。  事後承諾になりますが、上の耕している畑のうね6筋を小麦の苗床にしてしまいまし た。年内にこられるそうですが、できるだけそれまでに移植したいと思います。一面に 小麦をまいて苗を作る場所がほかになくなったからです。  小麦の苗は10センチ前後になってから移植したいのですが、間に合うかどうか。小 麦の苗は強いので、取ってから一時、作業小屋にでも保管しておいてもいいと思います。 発芽がよくなかったところや空く畑、崖などに移植してみるつもりてす。  キャンプ後も毎日、専業農家になったみたいI柊姓仕事をしています。苗床にするた めイチゴのあとを耕したら、イキゴの株が10本出てきましたので、下の畑に下りる細 道の上側の急な崖に、泥でくっけました。  イチゴの泥での植え付けは成功でした。その後も好天つづきで泥が乾いて割れてきた ので水をやりました。道路の土手の丹波黒大豆も収穫し、そのあとにエンドウをまきま した。泥を使って水菜なども移植しました。  エンドウは上の畑の水路を掘った残土の盛り土の上にもまきました。上の杉山の崖に 登らせるつもりです。明日は農協に注文していたタマネギ150本がきます。ホウレン ソウ全部と大根のほとんどを収穫し、周辺を少し開墾してタマネギの植え付けに備えて います。  いたるところに作付けして、残るは一部の崖だけになりました。一面に作物が茂って くると見物だと思います。 芝田まことさん(#11563)  これまでに何度か水路に火を投げ込んていたことがあったので、炭を造りたかったと は思い付きませんでした。ならば、最初にそういってくれればよかったと思います。炭 焼きにこっているNackさんもいたことだし、安全な方法があったかもしれません。 山は「火薬庫」ですから、特別の配慮が必要です。  これで〈山猿塾への出入り禁止〉なんてことはないでしょう。キャンプファイヤーで 生産した炭混じりの灰は、玄関横のイチゴなどにやりました。これで一件落着ですね。 イチゴや農作物は養分を吸収してくれるでしょう。 Nackさん(#11565,66,77,78)  力のこもったキャンプ報告をありがとう。天気もついてたけど、蜂もついていました か。わが家の刃物までとがせてすみませんでした。女房は「よく切れるようになった」 と喜んでいました。  亭主はなにをやっているのかということになりますが、わが家では、「家の事」は私 が専任、家事は女房が専任という分担になっていますので。  一番くたびれているチェーンソーは、力まかせで斧も壊した人が、力まかせで使いっ ぱなしにしていた代物です。私も少しはヤスリをかけて薪の裁断に使っていましたが、 すぐには元にもどりません。  そういえば、どこかの会議室で、私が〈確信犯〉を自称したことがありましたね。で も、シナリオも筋書きはありません。いろいろあって、いずれなるようになっていくだ ろう。というやつです。 yasufumiさん(#11567)  御忠告はありがたくちょうだいいたします。私も〈もっと違うやり方〉もあったと思 います。最善の策ではなかったでしょう。いろいろあっていいんじゃないですか。一度 説明してわかる場合と何度いってもわからない場合など、いろいろあります。  ただ、こんなこといったりやったりしたら〈若いもん〉や子どもたち、親たちに嫌わ れるんじゃないかなどと、他人の顔色をうかがわないことにしています。だれに対して も差別なく率直に自分を出すよう心掛けています。  どういうわけか「うちの息子をしかってもらえんやろか」という父親の依頼も受けた ことがあります。「それは親父の役目だ」と断りました。息子に対してさえ、顔色ばか り見ているような人が、いまの時代は増えすぎているとも思っています。  人間同士は、もっと裸で直接的、直線的にぶかりあうべきだと思っています。ただそ う思うだけではなく、態度や行動で示そうと努めています。相手を信じて、その結果を 恐れないように心掛けています。  と、ここまで書いたいま、目前のガラス窓になにものかがドンと外から直接、直線的 にぶかった。この夜中に鹿ではないかとテラスに出ると、えらく大型の鳥がガラス窓の 下のテラスから飛び立った。こんなことはじめてです。オレは人間にいっているんだ! 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11614 ◆山猿塾だより◆170-拙著の発売と広告 FAGRI掲載日 97/11/09  拙著『やったぜ! わが家を自力建築−毒漬け住宅に住めるか』(汐文社刊)が、いま 発売されています。1600円+税です。  キャンプや農作業に夢中でお知らせが遅れましたが、拙著の広告は朝日新聞10月2 7日付(地域で多少の差があるかも)に掲載されました。「Think Green  地球の未来を考える」という全面広告のなかに含まれています。全国のトーハン加盟書 店で展開されている「Think Green ブックフェア」で販売されています。  ぜひ御購読していただき、この会議室で拙著への御批判、御感想をお聞かせください。 ◇第三種兼業農家への実地体験取材◇  百姓っておもしろいですね。毎日、農具を持って走り回っています。自宅の自力建設 も単行本にまとまり、1区切りつきました。今度は第三種兼業農家としての実地体験取 材になります。自分が食べるものくらいは自分で作る、多種少量生産かつ総合的な食糧 生産になっていくと思います。  まだ車庫のほか育雛器、鶏舎などの自力作成が残ってはいますが、今後は農業生産が 中心になり、それ自体が本業のジャーナリストとしての実地体験取材にもなっていくと 思います。その日々の記録、取材ノートもかねた「農作業日誌」のようなものを始めよ うかと迷っています。  自宅の自力建設そのものの報告は、FAGRIのこの会議室での「山猿塾だより」と は別に、建築・デザイン関係のFARCD15会議室に書いてきました。今度はこの「 山猿塾だより」の一環としてつづけるのがいいのか、別の会議室で別の形で書き込んだ 方がいいのか迷っています。  「山猿塾だより」のなかにふくめたい思いはありますが、オフが中心のこの会議室で はちょっと調子が狂いそうで異質な感じもします。同じFAGRIでも、近年はほかの 会議室はのぞいていませんが、なにか適当な会議室はありますか。  私としては山猿塾の活動の一環と思っていますので、「山猿塾だより」として持続し たい思いが強くあります。だが、この会議室では、農家の生産活動や生活体験、悩みや 苦労から離れていくような気もします。農林業の総合的な自給自足の実験を考えていま すので、あまり一時的なキャンプやオフに左右されずに一貫性をもたせたい気もします。  要するに迷ってます。自宅の自力建設もそうでしたが、かなり徹底した体験的な実験 で汗をかき続けていきたいと思ってます。日本での食糧自給の可能性の追求の縮図を自 己体験で示したいと思っています。また、農業と生活の最も自然の原理に即したあり方 を実験的に追求していきたいと思っています。また、なぜそんなことをやるのか、私な りの考え方も展開していきたいです。  みなさんの御意見を聞かせていただけると助かります。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ