山猿塾だより 丹波山猿塾だより 丹波山猿塾だよりバックナンバー

ここは、丹波市島で山猿塾を主宰する青木慧さんからの便りのコーナーです。


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◆山猿塾だより◆101 明日への脳作業 FAGRI掲載日 96/11/05 ◆山猿塾だより◆102 96秋キャンプ報告 FAGRI掲載日 96/11/10 ◆山猿塾だより◆103 ルール&憲章 FAGRI掲載日 96/11/14 ◆山猿塾だより◆104 開拓小屋も開放 FAGRI掲載日 96/11/16 ◆山猿塾だより◆105 気の早い落成パーティFAGRI掲載日 96/11/19 ◆山猿塾だより◆106 FAGRI掲載日 96/11/20 ◆山猿塾だより◆107 落成披露に方向転換 FAGRI掲載日 96/11/25 ◆山猿塾だより◆108 ケヤキを植樹 FAGRI掲載日 96/11/29 ◆山猿塾だより◆109 新築披露の御案内 FAGRI掲載日 96/12/01 ◆山猿塾だより◆110 すてきなガイダンス FAGRI掲載日 96/12/09

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08695 ◆山猿塾だより◆101 明日への脳作業 FAGRI掲載日 96/11/05 ◇96秋キャンプ山猿塾を終えて◇  96秋キャンプ山猿塾は終了しました。参加のみなさん、御苦労さんでした。くわ しいキャンプ報告は次回にまわし、このたよりが100回を超えましたので、今回は 第二段階の明日の山猿塾へ向けた「脳作業」の報告です。  というと、かっこうよく聞こえますが、キャンプ最終日の昨4日の夜は、久しぶり に女房と2人だけで酒を飲みつつ、ぼやきにぼやいてしまいました。「疲れた」「疲 れた」にはじまって、「年をとったからか、いまの子どもたちにはもうついていけな い」「もう山猿塾はやめよう」とまで、ぼやきまくりました。  一夜明けて、今日5日は昨日の快晴もうそのような雨。ぼやきはやめて、もっぽら 沈黙。午前中は買い物、午後にはパソコンに向かって「脳作業」です。土日も祝日も 休みなしできた建設作業は、お休みです。訪問者も電動工具屋など2人だけでした。 ◇山猿塾に定住して1年半◇  なにもない、山間の当地に引っ越してきて1年半。ひまわり小屋暮らし1年で、ど うにか新築中の本宅の仕事場と書斎に引っ越したあと、寒さと競争でいまどうにか土 間と居間、客間(床の間)を9分どおり完成させました。残るは寝室のほか備え付け の家具などです。  当地にきて最初に買った道具は磁石でした。「コンピューター病(上腕外顆炎)で 腕と手が痛み、麻痺状態で、すぐ落とすクギ、ひっくりかえすクギ箱。そのクギを拾 うのさえ不自由で、磁石で拾い集めようと思ったからです。  当時を思えばかなりよくなりましたが、このところ建具などを造る指し物大工の細 かな手作業がつづいて、また痛みがかなり激しくなってきました。96秋キャンプに 向けて夜業もやり、それまでの目標はどうにか達成しましたが、明らかに過労性症候 群の症状です。  記者時代やフリーになってからも、仕事の「やりすぎ」でこの症状は体験していま すが、今回もキャンプでお見苦しいところをみせてしまったようです。過労性症候群 からの脱出は、明日を考えて自分を操縦するほかありません。 ◇第3種兼業農家をめざして◇  本宅の建設も、手の痛み次第で、うまくはかどれば年内に、遅くとも来春にはほぼ 完成するでしょう。そのあとは、本業の物書きの「脳作業」と農作業とを組み合わせ た、第3種兼業農家をめざし、農地を借りるなど具体化していくことになるでしょう。  今後の農作業などは、山猿塾に参加のみなさんとともに相談し、ともに工夫をこら していきたいと思います。しかし、物書きの「脳作業」は私独自の世界です。実際に は、住宅の自力建設なども実体験取材であり、「脳作業」もすでに活況といえるでし ょう。  これからやっかいになってくるのが、参加のみなさんと共有できる、農作業などの 山猿塾の作業や空間と、私独自の世界、女房をふくめた私生活の分野などとの区切り です。私たちは、土地や小屋だけでなく、自宅もふくめてできるだけみなさんに開放 しようと考えてはいますが、私たちもプライバシーを守らなければやっていけません。  例えば、私たち夫婦は、いまだにキャンプ生活と小屋暮らしの延長で、まだ一度も 寝巻きにも着替えず、着のみ着のままで寝ています。夫婦だけになる日は少なく、ト イレや風呂に行くにも、他人の目にふれずには行けないからです。  自分の家にいても、例えば日常的に寝巻き姿でくつろげないという生活は、けっこ うストレスがたまるものです。とくに生活がかかっている私の「脳作業」、女房の時 間に追われる編集・校正の仕事などは、孤独で静寂な空間と時間が必要です。  今度のキャンプでも、子どもの「麦茶がほしい」というちょっとしたねだりに「簡 単に他人の女房を使うな」といってしまいましたが、女房も「やりすぎ」の質で、疲 れすぎています。女房も過労性症候群気味なのが、私にはわかっています。 ◇自己完結型のキャンプ、小屋暮らしに◇  そこで、将来を考えた、おおまかな山猿塾のルールを提案したいと思います。サナ ギマンさんが従来から提案してくれている自己完結型の参加は、私たちにも負担の少 ない、一番助かる方式です。一人ひとり違いますので、一律にはいきませんが、つぎ のようなルールを考えてくれませんか。 1)ひまわり小屋を参加者のセンターにする  みなさんには長い間、不自由な思いをさせましたが、三成さんの開拓小屋もほぼ完 成し、96秋キャンプの初日にひまわり小屋から引っ越しました。  台所のある吹き抜け部分は、三成さんも利用して自炊しますが、従来どおり、みな さんで自由に使ってください。宿泊だけではなく、日帰りの場合も、荷物をここに置 いて、宿泊者と同様に利用してください。  小屋自体がまだ未完で補修も必要ですが、多少の増築も可能です。本宅建設が終わ れば、材木も余るでしょうし、作業小屋や電動工具も活用できます。できるだけみな さんの創意で完成させ、補修、増築を実現してください。 2)本宅はプライバシーの空間に  本宅は、基本的に私たち家族のプライバシーの空間と見てほしいです。そのときの 気候や季節、催しの性質にもよりますが、キャンプ期間中など、場合によって、土間 をみなさんの集いの場として利用していただけるように努力します。  土間は玄関つづきで、山猿塾の関係だけではなく、近隣の農家、知人、友人などと、 私たちが接する場です。土間と居間は一体で、全体の中心になり、ここから中庭、回 り廊下(ぬれ縁)やすべての部屋に通じるよう設計しています。ここから、ほとんど の部屋の中が見える構造にもなっています。テラスも、私の仕事場と書庫につづいて います。  やむをえず箱詰めで山積みにしていたあいだは、だれにも隠していましたが、いま 仕事場と書庫に移している書類の山は、主要な大企業の企業内秘密に類する資料が多 数あります。もし外部に出て提供者がわかれば、彼らが解雇されかねない性質のもの がふくまれています。紙くずのような紙切れでも、人の生活がかかっています。私に は、情報提供者や資料の出所などの秘密を守る義務があります。  最近増えた住宅、建設関係の見物者にも、どこの部屋にも案内していますが、山猿 塾関係者の場合も、私たちに案内させてください。言いかえれば、本宅は私たちの仕 事や私生活の都合、裁量にゆだねてほしいということです。  キャンプや小屋暮らしに必要な風呂は洗面所の外から入れる設計にしていますので、 私たちにわずらわされず、御利用していただけます。トイレも、外側に土足で入れる 外トイレを備えています。  なお、三成さんの開拓小屋も彼のプライバシーの空間であって、彼が、いつ、だれ に、どの程度、開放してくれるかは、彼の自由な裁量によるものです。地主の私たち も、彼の許可なしには、開拓小屋には入りません。 3)キャンプ、小屋暮らしは自己完結か実費分担で  参加者がなにをするかしないかは、それぞれ個人の自由裁量の範囲です。が、食事 や暮らしに必要な費用、資材、後片付けの手間などは、自分で責任を持ってください。 共同購入、分担持ち込み、共同炊飯などは、そのときどきの参加者の協議で決めてく ださい。  住宅建設や草刈りなどで助けていただいた人たちには、私たちの経済的能力がおよ ぶ範囲内で、せめて食事ぐらいはしていただいて、その御好意に少しでも応えたいと 思っています。しかし、これもまだルールとしてあいまいで、参加者を区分け、差別 する結果になりかねず、今後どうするか再検討の余地が大いにありそうです。  しかし、まもなく本宅建設も終わりますし、下の集落で田畑を借りて、希望者には 市民農園的な個人、家族単位の区画を設けたり、共同の区画を造ったり、新たな工夫 が必要になってくるでしょう。森林組合の協力をえて下草刈りや間伐などのボラン ティアなども、できればやりたいところです。これらは、参加者のみなさんの、希望 次第、自由裁量の範囲です。  みなさんの御意見をお待ちしています。また、こうしたことをパソコン通信以外の みなさんに、どう伝えていくかが今後の課題です。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
08704 ◆山猿塾だより◆102 96秋キャンプ報告 FAGRI掲載日 96/11/10 ◇参加のみなさん、御苦労さんでした◇ ぶんさん(#8688)  なにもおかまいできませんでした。山猿塾では、みんなでなにか決めてまとまって 行動するというのではなく、それぞれが思い思いに勝手に行動していますので、初参 加でとまどわれたのではないかと思います。それに、はじめのうちは、様子のわかっ た常連さんはNackさんだけでしたから。  立春のころには、ぜひどうぞ。そうそう満員になることはないと思いますが、ひま わり小屋泊まりの場合は、事前に確かめていただいた方が賢明です。先着順ですが、 先任権(参加日数の多い人の順)も考慮していくことになっています。 芝田まことさん(#8691)  EISALのメモリーの増設、ありがとうございました。新しいソフトの膨大なマ ニュアル(Help)の印刷ばかりで、ストックホーム(連続用紙)が切れてしまい、 注文の10箱が到着して、また印刷を再開しました。  一太郎の膨大なマニュアルを印刷しながら、少しマルチタスクを試そうとしたので すが、Help印刷画面に占領され、うまく操作できませんでした。マニュアルの全 体を掌握して使う方向を決めてから、細かいことをはじめるつもりです。  ワタリガニとアジをごちそうさまでした。奥さんから電話があったさい、いいそび れました。なお、ワタリガニのスープをつくってくれたHさんは、三成さんの友人で はなく、パソコン通信仲間です。 ◇参加者は25人+2人◇  女房の記憶と計算では、96秋キャンプ山猿塾の参加者は、合計25人、向かいの 農家の父子も加えれば27人でした。多からず少なからず、というところでしょう か? いまの山猿塾の容量ではちょうどくらいだったのではないでしょうか? 本宅 の工事も終わって作業小屋なども片付けば、もう少し容量にも余裕ができるでしょう。  今回のキャンプの特徴は、独身青年が多かったことではないでしょうか? 子ども たちは別にして、Nackさん、ぶんさん、東京のHさん、三成さんとその友人のT さん、Y子さんの6人でした。残念ながら、そのうち女性はY子さんだけでした。  また、初参加が増えたのもうれしいことです。初参加はぶんさん、Hさん、京都の Kさん、和泉市のNさん夫婦で、合わせて5人でした。Nさん夫婦は、拙著『自然に 学ぶ丹波山猿塾』を読んできてくれたのですが、御主人からつぎのような礼状がきま した。   〈いい汗をかき、貴重なお話まで聞かせて頂き、久しぶりに気持のいい1日だった ね、と女房と話しています。サナギマンさん、三成さん……みなさん好感の持てる 方ばかりで初対面の感じがしませんでした。また、年内にお邪魔したいなあと話し ているところです。なにか市島町がぐっと身近なところにさえ思えてきます。    「畑だけでも先に手に入るのなら、お父さんに頑張って家を作ってもらおうか、 私の部屋はいらないけどお父さんの部屋も作って、イロリもほしいね、子どもたち に手伝ってもらえば早くできるよ……」などと女房が言うもんで、つい私まで「そ うだな、よーしっ、やってみるか」と、つい力んでしまい苦笑しています。しかし、 なんだか元気は出てきます〉  Nさん夫婦は田舎ぐらしに転換し、自分の体験を生かして、不登校児のためのボラ ンティア活動をする計画です。そのための土地探しをしていますが、私も協力したい と思っています。12月ごろにまたみえるそうです。 ◇明日への脳作業・追加◇ Nackさん(#8695)  毎度のことですが、「修業が足らんなあ」と、自分に言い聞かせているところです。 短期のキャンプだけで疲れたわけではなく、もちろん、Nackさんたちを〈負担〉 に感じてはいません。  みなさんに助けられて、建設作業にも専念できたわけですし、今回もずいぶん草刈 りや後片付けを助けてもらいました。私がお礼をいうべきところですのに、みえださ んは、寄せ書きにそんなみなさんへのお礼まで書いてくれています。  小屋暮らし以来、無休の重労働で疲れすぎたのでしょう。ぼやく私に、女房は「山 猿塾をやめるのはまずい」といいはり、私の弱音にかえって奮起しているようです。  私も静かにしていたのは1日だけで、すぐ持ち直して土間と居間をつなぐ、幅88 cm×長さ300cmの立派な半割の檜のテーブルを完成させました。今日は客間 (床の間)に畳を入れました。また、がらりと変わりましたよ。  小屋暮らし当時は、台所も1つで、なにもかもごっちゃで、プライバシーもへった くれもなかったのですが、それに区切りをつけいという思いが大きいです。別に細か な規則は無用で、Nackさんのいわれる〈常識の範囲内〉のことで十分です。  ところが、この〈常識の範囲〉があってないようなものですから、これがやっかい です。それぞれ考え方や生活習慣の違う家族の〈常識〉があり、ときにはその〈常 識〉もぶつかりあいます。  わが家は日常的にいろんな人の〈常識〉とお付き合いしているわけですが、それぞ れ「まあいいようにやってください」というのがわが家の対応です。同時に、わが家 のプライバシーや日常生活にまで、他人の〈常識〉を強要されたくはありません。  そのためにも、それぞれの〈常識の範囲内〉で、ひまわり小屋をセンターにうまく 利用してほしいのです。そうはいっても、ひまわり小屋に生活道具が一式、必要です。 まずは後始末の〈常識〉を実行するホウキやチリトリも必要です。  私たちが長年、使い込んだコッフェルが一式おいてありますが、これを炊事道具と は思わない〈常識〉の人も多いのか、あまり使ってもらえないようです。女房は、い ちいち貸さなくても使えるよう、一式を買いそろえようといっています。そらまあ、 いろいろあれば便利ですが、どうでしょうか?   カマドも壊れ、冬に向けてこれも手当しなければなりません。夏には冷蔵庫もほし くなるでしょう。わが家の冷蔵庫も、ビールがあふれるほど自家用食糧で一杯になり ます。キャンプなどでは冷水冷蔵庫を造れば足りる、というのが私の〈常識〉ですが、 それでもほしいのなら、古い冷蔵庫でもだれか調達できないでしょうか。  私たちの住まいはより快適に整っていくでしょうが、といって都会の団地生活のよ うな便利さを山猿塾として整えるべきではないというのが私の〈常識〉です。サナギ マンさん提案の自己完結型が具体的にどういうものなのか、もう少し時間をかけて ルールを考えていきましょう。 ◇新しい参加者、訪問者◇  96秋キャンプが終わってからも、新しい参加希望者や訪問者が増えました。土曜 の昨日には、既述の地元小学校の「ふれあい学級」で見学にやってきた小学1年と3 年の兄弟が、今度は叔母さん(西宮で地震被災者)をともなってやってきました。  わが家の本宅は、見学にきた子どもたちのあいだでは「忍者屋敷」ということにな っているようです。いろんな独自の仕掛けを造っているからでしょう。しばらくひま わり小屋で遊んで帰っていきました。  日曜の今日は、宇治市の男性から「古い話で恐縮ですが……」と電話がありました。 山猿塾を取り上げてくれた、今年1月の朝日新聞の記事を切り抜いており、どうして も話を聞きたいし、自分の話も聞いてほしいことがるという電話でした。来週の日曜 日にやってきます。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
08713 ◆山猿塾だより◆103 ルール&憲章 FAGRI掲載日 96/11/14  ばかに暖かな日がつづきましたが、今朝は放射冷却のため、6時ごろには作業小屋 の寒暖計は0度でした。下の雑木林も落葉が始まり、下の集落が見通せるようになっ てきました。  私は冬の山猿塾が一番、好きですから、いつ雪が降り出すか待ち遠しくもあり、ま た昨年のクリスマス寒波のように、120cmのドカ雪を想定しますと、気ぜわしく もあります。あんな大雪が降れば、いまのままのテラスではとてももちません。雨戸 用に持ち上げる仕掛けを急いで造る必要があります。  しかし、カメムシの雪予報によると、昨年のような大雪はなさそうです。一時は急 激に増えかけた彼らも、ほとんど姿を見せなくなりました。テラスより最後の一室、 寝室造りを優先することにしました。  私はいつも自分の限界に挑戦しては壁にぶつかり、くたびれてぼやいては、また壁 に挑戦してきました。やってみると人間がやってきたことは、たいがいできるもので、 そこに新しい自分の発見があります。  いまの住宅自力建設もそうです。やればけっこうできるので、ならばあれもこれも と、つぎつぎと欲が出て、サナギマン夫人が「ぜいたく」といわれたとおり、身分不 相応な豪邸になってきました。が、眠れる資源を活用すれば、素人でもこんなに安く 立派な家が建てられるという、見本はできてきたと自負しています。  土間のだるまストーブやベンチ兼あがりかまち、土間と居間を結ぶテーブルなども、 山猿塾のみなさんとともに食事をし、暖をとりながら対話できる空間として、夢にも 描いてきました。その夢が変わったわけではありませんが、これが日常になってしま うと、心身も生活ももちません。  とくに夏以来、キャンプ期間中の参加はふだんとかわらなかったかわりに、それが 日常になってしまいました。テントや小屋暮らしの時代を知らないだけではなく、パ ソコン通信のやりとりも知らない人たちの見物、訪問などが増え、正直いって案内や 説明で仕事もストップすることが多く、疲れてしまいました。  これも山猿塾の使命と、喜んではいますが、肝心の仕事や生活の方が、山猿塾に振 り回されてしまうような事態になってくると、ときには悲鳴をあげたくもなってきま す。今後の作業として寝室造りを優先するのも、雪害対策より「逃げ場」が早くほし くなったからです。  ほぼできた客間(床の間)に畳をしき、数日前から1年半ぶりに畳の上で寝られる ようになりました。仕事場で寝ていたときは、時間を追われる女房の深夜の仕事もま まなりませんでしたが、客間も土間とつづいていますので、土間に出入りがあれば落 ち着きません。  短期のキャンプ期間中だけならいいのですが、山猿塾は「いつでも、どなたでも、 どうぞ」ということできています。現実にこれが日常的なものになってしまうと、や はりこっちがもちません。とはいえ、訪ねてくれる人を制限するのも、どうも気が向 きません。  そのくせ、完成したら、全部開放して完成パーティーでもやろうかと、密かに考え てみたり、画策したりしています。いろいろお世話になった人たちにも、お礼の気持 ちを伝えたいからです。あっちが立てばこっちが立たずというのが、いまの状況と私 の心境です。  ルールや憲章のようなものも、ほしいような気もします。が、実際に役立つでしょ うか。常連さんや『自然に学ぶ丹波山猿塾』の読者などは、その経緯や趣旨をわかっ てくれていますので、いうまでもないところもあります。  こういっては悪いかも知れませんが、都合のよいところだけ聞きかじった新聞報道 やテレビを見て、ひょっこりきてくれる人にも通用するような、ルールや憲章がもし できるなら、これは有効でしょう。  いつか書きましたが、テレビ報道を見て、民宿か避暑地のつもりできた主婦にルー ルを説いてみても、通じないように思います。「今度くるときはこの本くらい読んで からきてください」と、『自然に学ぶ丹波山猿塾』を手渡しましたが、逆に「どうし てですか?」と聞かれ、返答に窮してしまいました。  また「忍者屋敷」に期待してくる子どもたちに、憲章も通じそうにありません。参 加と訪問とは違うといえば違いますが、森林や建築関係のプロもきます。塾という名 はついていても事務員がいるわけでもなく、くる人もさまざまです。すべて、少なく とも最初は、私が応対しているのが現状です。  Nackさんの発想もおもしろくありがたいのですが、その発想を生かして実際に モノにするには、かなりのエネルギーがいりそうです。山猿塾には、まだあまり力は ありませんので、ルールや憲章を作ることが重荷になるようでも困ります。さりとて、 いまのままでも困ります。  いずれも山猿塾の発展途上の課題で、うれしい悲鳴です。どう発展していくのか、 シナリオもないところが、おもしろいところです。いったいどうなっていくのでしょ う。サナギマンさんがこられるときに、もしほかの方もこられたら話し合いもより豊 かになると思いますが、こういうことも話し合ってみたいですね。  急ぎませんが、とりあえずは、ひまわり小屋の管理、運営をみなさんにゆだねられ たら助かります。みなさんに用がなければ、わが家でも物置にでもなににでも使えま すが、あそこに、みなさんで、みなさんのセンターを作ってほしいと思っています。  なお、開拓小屋を完成させた三成さんは、2ヵ月後ぐらいに約1年の予定で海外旅 行(本人は世界旅行といっています)にたちます。その間の開拓小屋をどうするのか、 まだ本人に聞いていませんが、その管理の問題も生じてくるでしょう。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
08720 ◆山猿塾だより◆104 開拓小屋も開放 FAGRI掲載日 96/11/16  山猿塾の敷地内に開拓小屋を完成させた三成拓也さんは、その後、ベッドも造りま した。彼は「ひまわり小屋と同じように、開拓小屋もみなさんに使ってほしい」とい っています。  彼は2ヵ月後に「世界旅行」に旅立ちますが、本格的に旅行準備をはじめるため、 明後日、定住していた山猿塾を出て、奈良市内の実家に帰ります。留守中の開拓小屋 の管理は、親友である広島の大学院生が責任を持ってくれるそうです。遠方ですから、 ときどき利用しがてら、様子を見にくる程度になると思います。  開拓小屋はほぼ空き家になりますので、使って空気を入れ替えてもらえるだけで、 あまり荒れずにすみます。1年で帰国する予定ですが、行ってみないとわかりません。 帰国後のことも、いま確定するのは無理がありますが、彼が開拓小屋に定住すること はなさそうです。  つまり、今後は、帰国後もふくめて、山猿塾に参加するみなさんに開放してくれる ということです。彼の山猿塾定住はこれにて終わるわけですが、みなさんと同じよう に山猿塾に参加し、訪ねてくるという形になります。  その理由は、彼の旅行準備のほかにいくつかあるようです。彼の話では、わが家に はいろんな人たちが訪ねてきますが、彼には当地に友人知人があまりいません。また 「青木さんの個性が強いので、どうしても青木さんの個性にに引っぱられるので、自 分の考えでやりたいことをやっていきたい」などといっています。  誇り高き「頑固親父」から見ると、彼は意外とさびしがり屋です。山猿塾の環境や 一人暮らしは、少し厳しすぎたのかもしれません。私の個性が強いのは、自他ともに 認めるところで否定しません。これ以上強くしたいと思うことはあっても、弱くする つもりもありません。  ここに定住していると、山猿塾の動きやわが家の生活などに巻き込まれ、自分の生 活を見失いがちになるのも事実だと思います。また、毎日、老人夫婦と鼻を突き合わ せていては、おもしろくもかゆくもないでしょう。  「相談」を受けた私は、毎度のことで、決まりきった返答でした。「自分がいいと 思うようにやるのが一番、いいようにやりよ」です。「相談」するまでもなく、彼自 身が決めることで、私には山猿塾や開拓小屋に縛るような考えはさらさらありません。  というわけで、彼はめでたく小屋を完成し、まもなく自分の旅に立ちます。出発前 と帰国後には、何度か山猿塾にもやってくるでしょうし、これで「おさらば」という ことではありません。山猿塾に参加のみなさんは、彼の置き土産の開拓小屋を、ひま わり小屋と同様に活用してください。これは私からのお願いでもあります。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
08735 ◆山猿塾だより◆105 気の早い落成パーティ FAGRI掲載日 96/11/19 ◇自主的ルールは大歓迎です◇ サナギマンさん(#8727)  事情を知っているFAGRI以外の来訪者にも、できるだけ『自然に学ぶ丹波山猿 塾』を読んで、趣旨を理解してもらえるように努力しています。が、このところFA GRI関係の常連さんより、FAGRI以外のはじめての来訪者が多く、神経を使う ことも多いものですから、ついつい水をかけるようなことを書いてしまいました。  しかし、みなさんに積極的に受け止めてもらい、よろこんでいます。〈自主的ルー ル〉づくりは大歓迎です。ぜひ、参加のみなさん自身が、自主的に自身のルールを作 り出してください。私たちも仕事や生活に支障のないかぎり、その〈自主的ルール〉 に従います。 ◇冷蔵庫は調達できます◇ 芝田まことさん(#8732)  三成さんが、電気冷蔵庫を置いて転居しました。みなさんに使ってもらってもよい ということです。これは本人には確かめていませんが、電子レンジやトースターもお いてあります。多分、使わせてくれると思いますが、24〜26日の3日間、友人と ともに山猿塾に滞在しますので、そのときに聞いてみます。  ただし、いずれも買ってから一度も掃除をしたこともないようで、しっかり汚れて います。わが家もひまり小屋で燻製になったままの冷蔵庫やパソコンなどを、まだ掃 除もできない状況です。みなさんできれいにしてくれるのなら、使えます。  しかし、私は山猿塾があまり電気仕掛けになることを歓迎しません。本宅でも、例 えば電気仕掛けの呼び鈴(インターホン)を付けないで、「呼び出し木琴」を造ろう としています。換気扇も台所だけにし、4つの通気窓を屋根の下に付けます。 ◇新しい来訪者◇  一昨日は、宇治市から半失業状態のミュージシャンが、小学1年生の娘さんを連れ てやってきました。土方仕事でどうにか食いつないでいるということでしたが、心身 ともに疲れはてた様子でした。  プライバシーにかかわるのでくわしいことは書けませんが、奥さんは神経症で家に 一人でおいておけないような状態で、彼の方も自分が神経症ではないかと疑っていま す。娘さんも小学校で「いじめ」にあっているとか。  朝5時に出発して、ちょうど私が仕事にかかる時間にやってきましたが、こっちも 神経がくたびれました。自分が読んだ本の引き写しで、抽象的な話をつづけるので、 私は、例のとおり乱暴なことをいって、自分の作業を再開してしまいました。  「抽象的な聞きかじりの話には、もう辟易している。どいつもこいつも思い上がっ て『地球にやさしく』とか、抽象的なことをいっているが、実際にはなにをやってい るのか。なにもやっていないじゃないか。問題は自分が実際になにをやるかであって、 抽象的な話はもうごめんだ」  しかも、彼がきてくれる前日、ちょうど尼崎市から神経症の人が訪ねてきたばかり でした。3月に一度きてくれた人で、彼のことはすでにその当時の「たより」に書い ているはずです。その後、沖縄へ2度、職探しに帰郷しましたが、職はなく、いまは 大阪で新しい職についています。また、破壊状態だった家庭に帰り、妻子とともに暮 らすようになったということでした。  神経が細やかで純粋な人たちが、現代社会のひずみのなかで、神経を虫食まれてい ます。宇治市からきた人には「奥さんも一緒に連れてきたら」といってあります。 「きたい」といっていました。新築中の本宅を案内したら、娘さんに「こんなお家に 一度、住みたいね」とうらやましそうにいっていました。妙に耳に残っています。 ◇新年・落成パーティ◇  今日はめずらしく、早朝に現地事務局さんが瀕死状態のアカゲラを持って現れただ けでした。アカゲラを芝田まことさんが造ってくれた郵便受けにとまらせ、写真を1 枚撮りました。そのさいのフラッシュで蘇生でもしたように、ぱっと飛び立ち、森の 中に一気に消えました。電線かガス戸にでもぶつかり、脳震盪でも起こしていたので はないでしょうか。  今日は来訪者もなく、寝室の壁につける半割の木づくりに専念できました。そのお かげで少々、また手の痛みが激しくなりましたが、つぎをめざすいろいろな「脳作 業」もはかどりました。  そこで、新年・落成パーティの提案です。精一杯がんばれば、年内に本宅建設のお おどころは、ほぼ終わりそうです。細かな仕事はあとに残し、年が明けたら、新年の 祝いをも兼ねた、少し気の早い本宅落成パーティを催したいと思います。  主な目的は、間伐材などの眠れる資源を活用した自力建築の成果を、みなさんに見 てもらうことです。土間、居間、客間を中心にパーティを開き、子どもづれの大家族 を中心に小屋に泊まってもらい、あふれたら寝室を利用していただきます。ただし、 大勢になると浄化槽の能力を超え下流に迷惑がかかりますので、シャワーや風呂、洗 濯機などの利用は中止です。  これは単なる祝いのパーティではなく、つぎのステップの準備としたいと思います。 近隣の農家のみなさんには、テント時代から一方ならぬお世話になりました。そのお 礼とともに、今後は「他人の親戚」つきあいができますように、山猿塾関係のみなさ んとも、交流のチャンスを設けたいと思います。  実は、わが家も「家が完成するまで」ということで、いわゆる「村入り」を保留に してもらっています。実際には、家が完成してしまって「村入り」できるのは、来年 4月になりそうです。が、パーティはつぎのステップに入る準備です。  つぎのステップには、つぎのようなことを考えています。パーティが終わったら、 つまり来年からは、透き間ふさぎや棚、家具づくりなどともに、ビニールハウスの補 強、作業小屋の改築をすすめます。それらの肉体労働と組み合わせ、同時に『自然に 準じた暮らし−住宅自力創造の巻』(仮題)といった著書の「脳作業」にかかります。  さらに、4月ごろまでには、下の田畑を借りて、自分が食べる物くらいは自給でき るように、農作業をスタートさせたいと思います。農作業がはじまったころには、ま たつぎの「脳作業」を組み合わせることになるでしょう。かねてから目標にしていた 「第3種兼業農家」としてのスタートです。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
08741 ◆山猿塾だより◆106 FAGRI掲載日 96/11/20 ◇雑誌コラムに掲載◇  今日20日発売の『関西遊ぼマガジン』Y17(山と渓谷社刊)が、私と山猿塾のこ とを取り上げてくれ、掲載誌を受け取りました。「遊MORE人物探訪」というコラ ムで、「新しい農業・農村を模索する」という表題になっています。  一昨日は地元の『丹波新聞』の記者も取材にきました。すでに6回くらい書いてく れています。朝日、読売、産経など、取り上げてくれた記事を、新年・落成パーティ までにまとめておかなければと思っています。それがどこにあるか、整理もできてい ない状態です。  なお、パーティの日程は、地元の集落でいろいろ新年の行事がありますので、重な らないようにしたいと思います。今回は地元優先で日程を組ませてください。 ◇アカゲラの写真OKです◇  芝田まことさん(#8739)  郵便受けを造ってくれたのは、長男の宙宜くんであると十分に承知していましたの に、ぬけてしまったのでしょう。訂正します。  彼の郵便受けは大切に飾っていますが、わが家は郵便物が多く、雑誌や書籍などの 大型の物が少なくないので、あふれてしまいます。すでに一番大型の郵便受けを買い 備えていますが、これでもあふれてしまいます。  いずれ、特製の郵便・新聞受けを造るつもりですので、宙宜作のを飾っておくだけ では気の毒です。ひまわり小屋に付けたらどうでしょうか。  そういえば、山猿塾の各種の写真を譲る約束をしておきながら、キャンプのときは ばたばたしていてころっと忘れていました。今度、おいでのときは必ず催促してくだ さい。  また、この「たより」と同様、アカゲラの写真もホームページに掲載されるのはO Kですが、他の印刷物に流用されないよう、御配慮願います。というのも、これらは、 私の著作に備えた記録ですので、印刷物への掲載は別問題で、たいがいは有料となり ます。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
08772 ◆山猿塾だより◆107 落成披露に方向転換 FAGRI掲載日 96/11/25 ◇地元優先の落成パーティは見合わせ◇  すでに書きました地元優先の本宅落成パーティは、地元の物知りに相談した結果、 方向転換する必要があることがわかりました。古い集落ですので、正月にはいろいろ な行事があります。また、それぞれの家庭も、古い家が多いので、行事や挨拶回りま どで多忙のようです。  落成パーティのようなものは松の内にはやらないだけではなく、落成パーティなど 前例がないそうです。親戚だけが相手ならともかく、集落の人たちに呼びかけるとい うのは「出過ぎ」ということでしょう。  最近の『丹波新聞』(11月21日付)が、社会面のトップで〈念願の「山猿塾」 完成へ〉〈交流活動も活発に〉という見出しの大きな記事を掲載しましたし、集落の みなさんは、山猿塾の動向も新聞、テレビでよく知っています。だから、見たい人が 見にくるという範囲にとどめておくのがよさそうです。  新入でまだ「村入り」もしていまい私が、あまり晴れがましいことはやらない方が 賢明のようです。聞けば、落成の案内を出すと、必ず祝い金を包んだり酒を下げてき たりということになるそうです。となると、お返しをするのも集落の風習だそうです。  ふだんから「虚礼廃止論」をぶちまけ、集落の責任者(区長)などにも「村八分は 困るが、村二分にしてもらえないか」といっている私です。派手な冠婚葬祭は御遠慮 するという意味です。その私が自分で落成パーティを仕掛けて呼びかけるのは、まっ たくまずいことがわかってきました。  結局、山猿塾の「他人の親戚」の範囲内で、飲み食いを連想するパーティではなく、 落成披露という程度にとどめたいと思います。これもどうするか、もう少し考えさせ てください。サナギマンさんらがみえたときにでも相談します。もちろん、ここでも 意見を聞かせてもらえると助かります。 ◇冷蔵庫よりも、まず暖房対策を◇  ひまわり小屋の鉄のカマドは、煙突部分が腐って使えなくなりました。かつて私た ちが使っていた、ジュラルミンのふた付き缶を、イロリとして使ってもらうほかあり ません。  しかし、これはかなり「火の術」が必要ですので、火事でも起こされたらと心配で す。土間のステンレスの煙突だけは健在ですので、トタンかなにかで、ジョウゴを逆 さにしたような集煙装置を付ければだいじょうぶです。  前記の缶は、いま本宅で消し壷兼灰入れとして使用中ですが、必要なときには代用 できます。前と同じ鉄カマドが見つかれば安上がりですが、あれでも6000円近く かかります。  各ベッドの蛍光灯には差し込みがついていますので、それぞれが電気アンカを使用 されると楽です。1000円以内であります。電気ストーブの類は、一気に何台か使 いますと、許容量を超えブレーカーが下りてしまいます。  好天の昼間は暖かくても、夜はかなり冷えます。泊まりのさいは、前記のほか焚火 でユタンポや焼き石を造るなど、みなさんで工夫してください。 ◇稲作は当分のあいだ宿題◇  つぎの課題に備え、森林組合の職員にタダ同然の耕耘機を探してくれるよう頼みま した。また、駐車広場に木陰をつくってくれるケヤキも、頼みました。KOHクワガ タの森が繁れば、それで半分以上は解決しますが、来夏にも多少は影をつくってくれ るように、4mのケヤキにしました。2万5000円から3万円の落成記念樹です。  稲作は現在の状況では機械類に依存していますので、しばらく宿題にして、おりを 見て考えたいと思います。コンバインや田植機など農業機械一式を譲るという話も持 ち込まれましたが、まずは、耕耘機で耕せる範囲の畑作、野菜づくりから始めたいと 思っています。  希望者次第ですが、共同耕作なども考えられます。わが家の自給必要量はしれてま すので、希望者には区画を決めて耕作してもらうことも可能です。来春には、本宅の 完成時期を見計らいながら、借地の交渉をはじめたいと思っています。 ◇材木がかなり残ります◇  最後の1室、寝室造りに先立ち、占拠していた材木を移動しました。作業小屋の前 方に雪対策のツッパリを付けて、それを材木通しにしました。かなり整理しましたの で、埋もれていた用材も出てきました。  Nackさん。小型ログハウスに最適の半割材もたんまり出てきました。外トイレ の壁にはった半割材の加工ずみのものです。私もいずれこれで新聞・郵便受けを造り たいと思います。  三成さんの小屋用に回していた杉丸太も30本近く残っているでしょうか。炭焼き 用に使ってもらうことも可能です。本宅建設が終わっても、用材とともに電動工具類 一式が残りますから、ぜひみなさんで活用してください。  用材の方は、作業小屋の改造、付属施設の建設などに必要でしょうから、どの程度、 譲れるか、いましばらく様子をみてから判断します。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
08790 ◆山猿塾だより◆108 ケヤキを植樹 FAGRI掲載日 96/11/29 ◇木陰がほしくなって◇ Nackさん(#8782)  先日は御苦労さんでした。多少は材木が片付き、すてきなタイミングでした。わが 家より権兵衛陛下の贅沢な住宅の方が早い落成になりそうですね。楽しみにしていま す。でも、あまり居心地がいいと、1日24時間寝ていそうです。  みなさんが積極的に自主的ルールをつくってくれるのは、たいへんうれしいことで す。Nack案はきっと独創的で、おもしろいものになりそうですね。  いい忘れましたが、文庫の本棚は、仏壇がわりに使っていた、ガラス戸付きの小ぶ りの本棚を寄贈します。ただ100歳を目前に死んだ母が、30年前後も毎日、線香 をあげていましたので、匂いがしみついているかもしれません。でも、多少、雨漏り がしても本をぬらさずにすむでしょう。  作業小屋に増築した材木とおしの前に、4mのケヤキを植樹しました。炎天下に日 陰がまったくなかった夏の経験が頭にあって、木陰がほしかったからです。駐車広場 に枝をいっぱいにひろげるには、何十年もかかるでしょうが、それが夢です。何年か すれば、子どもたちの木登り相手にはなってくれるでしょう。  私はまもなく61歳です。パワーなんてありませんよ。ただ、背水の陣で生活がか かっているので、全力投球しているだけです。その力が抜けるのは「金持ちの道楽」 と間違えられることです。先日、舞鶴市のUターン農家にそんな話をしたら、半分ぐ らいは道楽もあるんじゃないですかといわれました。ガクンときました。 ◇地元の人たちとの交流◇ サナギマンさん(#8785)  当地ではとくに冠婚葬祭がたいへんです。私の同級生の場合でも、息子の結婚に退 職金をつぎ込んでも足らなかったくらいだといいます。そんなのを見聞していると、 人並みに付き合ってたら、わが家は生活が成り立たなくなるだろうという恐怖感が先 立ちます。  私はどこでもズケズケいいますが、それで孤立するということはないと思います。 たいがいがこれでいいとは思っていませんから。わが家もわが家流のケジメで付き合 っていくつもりです。  確かに、キャンプなどでは、その都度の参加者と地元の農家との交流は少なくなっ てきました。1つは農家のみなさんが忙し過ぎることです。ほとんどの家族が勤めに でていますから、勤めだけの都会のサラリーマンより忙しいでしょう。  2つには、かつてのキャンプだけのころと違って、わが家との交流が日常的になり、 キャンプだからといって、とりたてて顔を見せにみえなくなったからではないでしょ うか。しかし、わが家と地元の人たちとの交流はひろがっています。  昨夜も森林組合製材所の新婚ほやほやの職員が、奥さんを連れて見物にきました。 さきのケヤキも彼が都合してきてくれたものです。いろんな人たちが山猿塾に直接、 間接に協力してくれています。山猿塾は、新聞報道などで、町内の人たちにも広く知 られるようになりました。  例えば、地元の保育園、幼稚園の保母さんたちが50人も集まって、山猿塾で研修 会を開いたり、ふれあい学級で母子40人が山猿塾へ見学にきたりということは、か つては考えてもみなかったことです。いまでは、いろんな人たちが注目しています。  いま進行中の参加者の自主管理ルールの作成なども、古い村社会のなかでは、なに か新しい人間関係のモデルができるのではないでしょうか。私はそんな期待をしてい ます。どこにいても、やはり信ずることをやっていく以外にないようです。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
08802 ◆山猿塾だより◆109 新築披露の御案内 FAGRI掲載日 96/12/01  近況報告をかね、本宅落成披露の御案内をさせていただきます。  昨年4月26日に当地、兵庫県市島町の山中に引っ越してきて、まず仮住まいのひ まわり小屋の増築から始め、作業小屋も建てて、実質的に本宅の建設にかかったのは 7月でした。本年末でちょうど1年半になります。  みなさんの御支援、御協力によって、本宅もおおどころは年内に完成する見込みで す。酷使されてきた電動工具も疲れ果てて、簡易ミゾ切り機がギアとベアリングが磨 耗して急遽、入院するなど、まだ不安要因は多々あります。が、まあ、なるようにな っていくでしょう。  つきましては、お世話になったみなさんに、感謝の気持ちを込めて、本宅落成の披 露の機会を設けたいと思います。現在、寒気が肌を切るなかをつぎの仕事を考えつつ、 落成をめざして奮闘中です。  つぎの仕事の表題は『自然に即した創作住宅−やったぜ!自力建設』といったもの になりそうです。なにしろ従来の仕事とは畑ちがいであり、また丹波の山中での再出 発でもあり、ゼロからのスタートとなります。出版社との交渉もこれからで、どうな るかわかりませんが、これまたなるようになっていくでしょう。  落成披露には、再出発の「脳作業」に向けて、一区切り付けたいという私の思いも あります。再出発にふさわしく、新年を迎えた早々に下記のとおり、その機会を設け たいと思います。初参加の方も御遠慮なくお越しください。 ◇本宅落成披露◇ と き=1997年1月3日(金) ところ=兵庫県氷上郡市島町市ノ貝 山猿塾 Z=0795 86 1286       (JR丹波竹田駅下車、約3キロ) 昼 食=だるまストーブを囲んで、私たちが山猿鍋を用意させていただきます。 宿 泊=客間(床の間)、寝室(まだ未完)などを利用していただく予定です。 寝 具=各自で御用意願います。  なお、風呂、シャワーなどは、浄化槽の容量を超えるので御利用できません。  みなさんのお越しを心からお待ちしています。 青木 慧/明子 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ
08863 ◆山猿塾だより◆110 すてきなガイダンス FAGRI掲載日 96/12/09 Nackさん  サナギマンさんとはすれちがいになりましたが、今日9日、すてきな『山猿塾ガイ ダンス』を受け取りました。これはかなりのエネルギーが必要だったでしょう。期待 していた以上の大作です。  山猿塾の常連さんや中心メンバーに、ぜひ読んでもらいたい作品です。それだけで はなく、この会議室などの希望者にも、メールで送れるといいですね。これまた新た なエネルギーが必要でしょうが……。  原案のNackさんの個性、独創性をそのまま残し、だれかがほかに気が付いたら、 またその人の個性で付け加えるようにするのもいいですね。表紙も付けて、一度に何 人かが読めるように、コピーを2、3冊、備え付けたらどうでしょうか。  御苦労さんでした。とりあえず、お礼まで。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ